青くても一人前

「はぁ・・・」


店の中でラビーは溜息を吐いた。

マクスウェルからの連絡が未だに来ないのだ。


「結構経っている筈なのに・・・」

「気長に待つにょ―」


でぶ妖精がぴょんぴょん跳ねている。

キャッチしてもにもにするラビー。


「にょー♪」

「とりあえず今日は如何しようかなぁ・・・」


カランコロンとアラモードとウィノが入って来た。


「やっほー何か食べさせてー」

「ども・・・」

「またですか・・・」

「私も果物だけじゃあ流石に飽きるし肉が食べたい!!」

「無視ですか、 そして肉ですか」

「バナナあげるからさ、 ベーコン巻き作ってよ」

「バナナですか・・・」

「知ってる? バナナ」

「一応は・・・」


アラモードが【フルーツパーラー】でバナナを成長させてラビーの前に出した。


「・・・いや、 これ青いですよ、 熟して無いじゃ無いですか」


青いバナナを出されて困惑するラビー。


「黄色いバナナでベーコン巻きなんて嫌よ」

「・・・青いバナナでベーコン巻きを作れって言ってます?」

「そのつもりだけど、 嫌なの?」

「初めてですから上手く行くか分からないですけども作らせて頂きます」


ラビーは青いバナナの調理を始めた。


青いバナナと言うと日本人には馴染みが無いとは思うが

料理としては全然アリな食べ物である。

ラビーは前世でも一応話は聞いていたがあまり興味が無かった。

食べた事が無かったのでとりあえず味見をしようと皮を剥こうとする。


「・・・・・固い」


剥けなかった。

皮が固いのだ、 仕方なく、 ナイフで手早く剥いてカットして食べて見る。


「果物、 と言うよりは野菜に近い、 芋? っぽいですね」

「だからお肉に合うのよ」

「なるほど」


自家製のベーコンを切り、 そのベーコンの幅に合わせてバナナを切る。

そしてベーコンでバナナを巻いて爪楊枝で留めオリーブオイルを敷いたフライパンで蓋して焼く。


「焼き加減でどの位ですかね?」

「弱火で長めに焼いて、 バナナに火が通る様に」

「分かりました」


アラモードのアドバイスも有ってほっくほくになった青バナナのベーコン巻きが出来た。

早速食べる3人。


「芋っぽいですね、 ベーコンに合う」

「ベーコンも自家製で美味しいわね、 やっぱり私達、 良いカップルになれるわよ」

「それは・・・ちょっと遠慮したい」

「ぶー」

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