綺麗な所ほど恐ろしい逸話が有る

「ラビーは新婚旅行何処に行きたい?」


食後にお茶を飲んでいると唐突にアラモードがラビーに尋ねる。


「貴女と結婚するつもりは無いですが

新婚旅行行くとしたら・・・そうですね・・・海じゃ無ければ良いです」

「何で?」

「深海戦争」

「あぁ・・・」


もう海は見たくないレベルで海辺で戦闘を行っていたのだ。

嫌になるのも分かる。


「私は後方で兵糧を作っていたからね、 本当にウザいよね、 魚擬き」

「そうですね」

「ウィノもそう思うでしょ?」

「え? いや・・・その・・・」

「ウィノさんは深海戦争に出兵しなかったんですよ」

「マジで? 何の為の騎士よ」

「・・・サンライズ殿下が行かなかったので」

「そのサンライズは肝心な時に貴方を守ってくれないじゃない

そんな奴に付き添う必要は無かったのよ」

「・・・・・」


ウィノは絶望した。

本当は怖かったのだ、 戦争に行くのが。

言い訳にサンライズを使った自分の浅ましさに嫌になった。


「本当に私は糞ゴミ役立たずだな・・・」

「何で落ち込むのよ・・・でもそうね・・・ラビーは湖とかは好き?」

「湖? まぁ湖は嫌いでは無いですが・・・」

「じゃあ湖上都市とか行って見ない?」

「湖上都市? あれですか

アメリア湖の上に島を作ってその上に街が出来ているって言う・・・」

「そう、 あそこは良い街よ、 湖畔に移る景色が最高なのよ」


うっとりするアラモード。


「・・・いえ、 遠慮します」

「何で? 新婚じゃなくても個人的に旅行に行かない?」

「・・・アメリア湖は元々街だったのでしょう?」

「そうそう、 湖の底には街が有ってダイビングで潜る事も出来るのよ

海中の街並みとか素敵だと思うわ」

「・・・・・逃げ遅れた人々の死体も有ると聞きましたが」

「何年前の話よ、 今は掃除はしているし死体なんて残って無いわ

その気配りが出来る湖上都市は本当に良い街よ、 観光に来る貴族や皇族も多いし

観光産業で成り立っている素晴らしい街よ」

「・・・・・」


ちょっと話が合わないな、 と思うラビーだった。


「あの・・・逃げ遅れた人々の死体って?」

「ウィノ、 帝国の観光地位知っておこうよー

アメリア湖は元々帝国の一地方だったんだけど

地方領主が魔術的な重要人物を殺害した事で集中豪雨が起きて窪地だった

その地方は今や湖の下になっている、 良い所よ、 本当に」

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