ごと

とりあえず店の中に入り紅茶を出されるソーラーとツイスト。


「結構です、 私はせっかちな性分でして熱い物は苦手なんです」

「そうですか・・・」

「ちょっと待って下さい、 御二方、 何故ココに?」


盾の騎士が割って入る。

詰め所に居る筈の二人がここに居るのが不思議でならない。


「少し抜けて来ただけですよ、 お気になさらず」

「それではソーラー殿下、 貴方も・・・私が目当てですか?」

「勘違いなさらないで頂きたい、 私の狙いはあくまでも皇帝の座です」

「素直ですね」

「物事を包み隠さない誠実な態度と受け取って貰えれば幸いです」

「そうですか・・・貴方が皇帝になった場合、 どの様な政治を執るおつもりですか?」

「まずは旧帝国の派閥の解体ですね、 現状父陛下が居なくなれば

旧帝国の元騎士団元憲兵団が動き出すのは確定です」

「申し訳ありませんが・・・」

「帝国だけの内輪揉めではありませんよ、 もしも侵略をする者が皇帝になってしまえば

この王国にも問題は波及するでしょう」

「そういう問題ではなくて・・・」

「では如何言う問題ですか?」

「私が結婚するのならばそういう政治的な駆け引きでは無く

私を好きになってくれる人と結婚したいです」

「・・・・・はぁ?」


丁寧な応対をしていたソーラーの顔が歪む。


「貴女貴族でしょう?」

「超危険地域に追放された人間を貴族と呼ぶのですか?」

「・・・私ならばここから抜け出させる事が出来ます」

「生憎ですが、 私はココの生活に満足しています」

「何だと・・・」


明らかに不機嫌になっているソーラー。


「そもそも貴方、 男らしくない」

「・・・・・必要ですか? 男らしさ

私は人には丁寧に話す様に心掛けているつもりです」

「いや口調では無く、 皇帝という権力を持たなければ派閥を何とかしようとしない

その心意気が男らしくない」

「・・・・・なるほど、 噂で聞くよりも大分勇ましい方だ」


ふぅ、 と溜息を吐く。


「だがしかし私一人の力なんて大した事無い

ライスボールの虐殺を執り行ったと言われていますが

私は誰よりも速く動ける程度の固有魔法です

汎用魔法も使えますがそれ程の実力は有りません

旧帝国の激戦を生き残った連中に比べれば、 私なぞ・・・」


ごと、 と物音がする。


「何だ?」

「?」

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