スイーツの店よりもパン屋の方が美味しいスイーツを売っているケースが有る(アラモードside)

カラメル王国の王都ブリュレの有名スイーツ専門店『ブリュレスイーツ』にて

フルーツ系のスイーツをテーブル一杯に並べて味わっているアラモード。


「・・・・・」


しかし表情は芳しくない。


「相席して宜しいですか?」

「うん?」


テーブルの向こうに座るのは王国騎士団副団長のポッキーだった。

数名の騎士達も回りに居る。


「別に構わないよ・・・君達も食べて」

「我が国の名店のスイーツはお気に召しませんか?」


ポッキーが尋ねる。


「調理方法は問題無いよ、 しかしながら材料が悪い」


一口食べた苺ケーキの苺をフォークに突き刺してポッキーに見せる。


「この苺も味が弱い」

「弱い?」

「酸味も甘味も弱い、 あまりいい苺じゃないね

クリームとか小麦とか問題無いが肝心のフルーツが悪い」

「この店はブリュレが一番人気なんですよ」

「アレは絶品ね、 最初に頼んで全部食べちゃったわ」

「それは良かった」


ポッキーが笑った。


「所でアラモード殿下、 何故この国に入国したのですか?」

「あら? ラビー・ストロング令嬢を妻に迎える為と伝えた筈だけど?」

「ですが貴女は女性でしょう?」

「先日、 我が国では同性婚が認められました

全く問題無いわ」


かちゃかちゃとスイーツを食べるアラモード。


「この焼きプリンも美味しいわね」

「では何故ラビー令嬢が追放された赤い森に行かずに

ここでスイーツを食べているのですか?」

「この国の有名スイーツが食べたかったからだけど?」


何か問題でも? と言う顔で尋ねるアラモード。


「・・・それだけですか?」

「そうね、 お土産に菓子折りの一つでも持って行こうかしら」


事も無げに言うアラモード。


「冗談よ」


スッ、 と立ち上がるアラモード。


「さてとこれからスイーツ店をはしごするけど貴方達も来る?」

「・・・赤い森に向かわないんですか?」

「うーん、 何と言うかイマイチなのよね、 勘違いしないで

悪くはない、 悪くはないけどもイマイチ欲求不満なのよ」

「それなら私が個人的に行くパン屋を紹介しますよ

親戚の農園から届けられた林檎から作られたアップルパイが絶品です」

「そのアップルパイ、 カスタードクリームは入っている?」

「たっぷりと入っています」

「では行こう、 案内してくれる?」

「かしこ参りました殿下」

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