何故亜人圏で辛い料理が発達しなかったのか?

【レストラン・スコヴィル】に向かう途中だった盾の騎士は秤の料理人と出くわした。


「おや、 こんな所で奇遇だな」

「そうだな、 アンタもあの店に?」

「あぁ、 アンタには悪いが店長の料理に嵌っちゃってな」

「俺も似た様な物だ」


二人して店に向かう事にした。


「所で一つ質問が有る」

「何だ?」


歩きながら騎士が料理人に尋ねる。


「辛さを主軸とした料理が流行らなかったのは一体なんでだろう

唐辛子は劇物としてちょっと前の俺ならば喰おうとも思わなかったが

それでも少しは辛い料理が出来ているとは思う」

「ふむ、 確かにこれ程美味しく料理出来るのならば料理として

誰かが作っていても可笑しくは無い、 そう思って調べてみた」

「それで?」

「赤い実、 つまり唐辛子は武器としての用途として発展していたんだ」

「武器?」

「目潰しの為のスプレーとか」

「そう言う事か・・・確かに食べ物としてじゃなく

武器として見られていれば料理研究はされない・・・か」


納得する盾の騎士。


「ん? 待てよ? 目潰しのスプレーとかウチの騎士団には無いぞ?」

「ゴーグルをつければ対策できるからスプレーは廃れていったらしい」

「確かにな・・・」

「トドメに新しい唐辛子スプレーを作ろうとした時の事故で偉い事になったらしい」

「一体何が有ったんだ・・・」

「スプレーしたら風向きが変わって自分にかかったり

辛みを凝縮しようと唐辛子を大量に煮込んでいたら

辛みを含んだ蒸気が部屋中に沸き上がり、 大混乱に陥り

結果として完全に研究がストップしてしまった」

「うわぁ・・・」


ドン引きする騎士。


「そんな事をしている内に店に着いた・・・って何だ?」


トレジャーハンター達が店の外で待っている。


「如何したんだ?」

「実はこれから店長とでぶ妖精遺跡に探索に行こうと思ってな」

「でぶ妖精遺跡?」

「あぁ、 でぶ妖精の食い物屋が有ると聞いて行きたくなったらしい」

「ほうでぶ妖精の店か・・・興味があるな・・・」


料理人が興味深々になる。


「店長が行くなら私も行こう」

「そうか、 お、 店長が来たか」

「お待たせしました」


身軽な服装になって店から出て来るラビー。


「店長、 私も探索にお供するよ」

「俺も行こう、 でぶ妖精の店とか面白そうだろ」

「ありがとうございます、 じゃあ行きましょうか」

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