閑話 水棲でぶ妖精

港町から魚が届いた。

生きの良い新鮮な魚ばかりである。


「おいしそーにょー、 早速食べよー」

「駄目よ、 これは商談用に使う物だから食べちゃ駄目

とりあえず鮭を捌いてスモークサーモンにしなくてはならないから」

「いいにょおぉお」


恍惚となるでぶ妖精達。

早速ラビーは鮭に包丁を入れた。


「にょもしー」

「ん? 如何したのおでぶちゃん」

「にょ? 何も言ってないにょ?」

「にょもにょもー」


鮭のお腹からうぞうぞと細長いでぶ妖精が出て来た。

普通のでぶ妖精と違い、 胴体では無く細長い体の首元に手足の様な棒が付いている。


「にょー、 水棲でぶ妖精にょ―」

「水棲でぶ妖精?」

「そうにょー、 水中で主に活動するでぶ妖精にょー」


ユニークでぶ妖精の一種でありSLKFと同じ位には有名である。

偶に釣れるがこうして魚の体内に寄生している例も少なくない。


「にょーん」


水棲でぶ妖精がラビーを見る。


「こうなったら仕方がないにょ、 このまま観賞魚として生涯を全うするにょ」

「何を決めてるの、 良いわよ、 逃がしてあげるわよ」

「にょー!! いやにょいやにょー!!

ここで観賞魚として水槽の中で喰っちゃ寝する生活をするにょー!!」


びちびちと跳ねる水棲でぶ妖精。


「こらこら暴れないで、 とりあえずそぉい」


水棲でぶ妖精をぺちーんと叩きつけるラビー。

水棲でぶ妖精はこうされると暫く大人しくする。


「にょももももしー」

「とりあえず鮭を捌きますかね・・・薫製について試行錯誤しないと」

「作った事有るにょ―?」

「一応は・・・冷燻は初めてだから緊張するけど作り方は知って居る

燻製用の箱と燃料は前に地下室で見かけたからそれを使いましょう」

「それも良いけど、 やっぱりそのまま食べたいにょー」

「我慢しなさい、 でぶ妖精のジレンマよ」

「早速使ったにょ!! 使用料払うにょ!!」


ぺちーんと叩きつけられるでぶ妖精。


「にょーん・・・」

「兎に角、 スモークサーモンを始めとした冷燻を大量に作らなければ

魚を今後入手するのは難しい、 魚の入手の為にも成功させなければ」

「にょ、 大変だにょー、 見守るのは任せるにょー」

「いや冷燻には温度が低い煙が必要、 私の魔法で温度を下げてみるから私が見る必要がある」

「大変だにょー、 お店も回さなきゃいけないのに・・・」

「頑張るしか無いわね・・・」



婚約破棄された令嬢の激辛料理経営禄のPV第二弾を作りました

https://youtu.be/WD5eOZrqUxI

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