食卓を囲む者達

八王達の軍勢により半魚人達の撃退が成功してから一週間後

八王達の支援によって荒らされた港町の修繕作業も終わり

ラビーと網元との冷燻作成等の様々な取引の交渉も済んだ。

騎士達はラビーの交渉が終わる迄待ったのだった。


「網元さんとの交渉終わりました、 何とか互いに納得のいく結果になりましたよ」


ラビーが宿の部屋に居る騎士達に報告する。


「そうか、 じゃあそろそろ帰る準備をするか」

「すみませんお待たせしてしまって」

「いやいや、 この一週間は街の漁師連中とずっと祝勝会をしていたから

まるで問題が無い」

「そんなに遊んでいて大丈夫ですか?」

「今回、 外来種を倒したのは我々と言う事になっているし

功績を鑑みれば問題では無いだろう」


今回の半魚人達と八王の軍勢の戦いは隠匿される事になった。

そもそも動く事の切欠が古代兵器なので広める訳には行かない。

それ故に功績は全て騎士達とラビーの物になった。


「納得も釈然も行かない」

「気持ちは痛い程分かるが仕方ないだろう

古代兵器を公にすると色々問題が有る」

「亜人圏の中央にそんな物が本当に有るんですか?」

「噂では古代兵器だとか金銀財宝だとか永遠の命だとか色々な説が有るな」


勲章の騎士が答える。


「しかし四方山話だからなぁ・・・」

「他人の功績を奪う様で気乗りしないがこの一週間店長の料理も堪能出来たし

俺としてはラッキーだったよ」


盾の騎士が答える。


「そう言って頂けると嬉しいです」

「特にあのデカブツの竜田揚げが旨かった」


鯨野郎の竜田揚げである。

鯨肉の料理もお手の物である。


「喜んで貰えて何よりです」

「この街にも唐辛子? でしたっけ、 あの赤い実

アレを使った料理を店長が作ったから

旨さに需要も増えるんじゃないですかね?」

「だとしたら嬉しいですね」


微笑むラビー。


「あ、 そうだ、 網元さんから送別会を行うと言っていたので参加します」

「無論参加するだろ!! ただ酒が飲めるならば行く!!」


ラビーと騎士達を送る送別会は盛大に行われるのだった。






送別会が終わった後に酔い潰れた花瓶の騎士と剣の騎士を

それぞれ背負って部屋に戻る旗の騎士と勲章の騎士。

少し離れてそれを見るラビー。


「何だか良いですね」

「何が?」


盾の騎士が残り物の焼き魚を食べながらラビーに尋ねる。


「いや、 こうやって飲み潰れて背負って帰るって何だか懐かしい

学生時代に戻ったみたい」

「背負っている方にしては面倒ですけどね、 何となく気持ちは分かりますよ」


にこり、 と笑うラビー。


「何だか色々な思惑が有ったりしましたがこうして食卓を囲んで

酔い潰れたり出来て、 楽しかったですよ」

「店長の店でもお酒置いたらどうですか?」

「それは嫌です、 自分がお酒飲めないのにお店に置くとか考えられない」


きっぱりと断るラビーであった。

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