理由なき闘争

「私が聞きたいのは唯一つ、 何故半魚人は我々を襲うのか?」


ラビーが真剣な顔で二人に尋ねる。


「・・・・・はぁ?」


タコ娘がきょとんとする。


「我々人類は海から魚を取る

だがしかし話し合ってから解決しようとは思わないのか?」

「いや、 魚取ったから何? 我々は魚人であって

魚じゃないぞ? 魚を幾ら取られても・・・

まぁ我々が食べる分まで持っていかれるのは問題だが

お前達はそんなに持って行かないしな」


棘坊主が事も無げに話す。


「では侵略の為か? 海は広い

態々陸地に攻め込む必要が有るとは思えない」

「否、 断じて否」


棘坊主が強い口調で言う。


「そうでは無いんだよ赤い魔女、 お前は人間と言う物を軽く考えている

お前達人間は全て死ななければならない」

「私達人間に恨みでも有るのか?」

「無い」

「では何でだ?」

「知らん」

「知らない?」

「あぁ、 強いて言うならば何となくだな

眼の前に泳いでいる魚を喰らうが如くにお前達人間を殺す、 理由なんか無い」


キッパリと言い切る棘坊主。


「ならば何故この亜人圏まで来たんだ?」


服を着終えた盾の騎士が尋ねる。


「人間と殺し合いがしたいならば態々ここに来る必要は無いだろ」

「何でだ?」

「何で? いや人間を殺したいんだろ?」

「お前達も人間では無いのか?」


棘坊主が尋ねる。


「俺達は亜人だ、 人間とは違う」

「違いが分からん」

「・・・・・如何やら会話が出来ても顔の判別が出来る賢さは無いみたいだな」


呆れる盾の騎士。


「だけど態々海沿いからここまで来る必要性が分からん

大陸奥地じゃないか」

「それならば私が説明してやるよ!!」


タコ娘が答える。


「この大陸の中央には古代兵器が有ると我らが神から神託が有った!!」

「古代兵器?」

「その通り!! それさえ使えばこの大陸の中央から海沿い迄

一気に海の下に沈む事になる!!」

「何だと!?」


驚くラビー達。


「お、 おいそこまで話すなよ・・・」

「構わないさ!! どうせこいつ等はここで死ぬんだ!!」


棘坊主の言葉を遮るタコ娘。


「頭が悪い様だな、 お前達は二匹、 こっちは店長含めて五人

圧倒的にこちらが有利だ」

「ふん・・・馬鹿はそっちだ!!」

「何!?」


にゅるにゅるとタコの足を伸ばすタコ娘。


「こっちは棘坊主含めて10本の手、 イーブンだ

それにあっちに行った奴を倒して鯨野郎がこっちに来るからこっちの方が有利」

「それは無いな」


盾の騎士が言い切る。


「何で?」

「団長が負ける筈は無い」

「あのデカブツに勝てると?」

「楽勝だろ」


盾の騎士はキッパリと言い切った。

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