シーフード・パラダイス

料理は次々と運ばれテーブルには様々な魚の刺身と丸ごとのイカが現れた。


「このイカは? 切らないんですか?」

「このイカは名物でしてね」


空いたスペースにタレと炭が出て来る。


「これは・・・なるほどイカ焼きですね?」

「その通り、 自分でベストなタイミングで食べて下さい」

「でも店長、 自分で火を起こせるじゃないか」


盾の騎士が割って入る。


「いやいや、 炭火は全然違うんですよ

炭火で焼くのと魔法の火で焼くのはまるで違うんですよ」

「火の魔法も使えるのか? てっきり氷の魔法使いかと・・・」

「固有魔法で炎も氷も両方使えるんですよ、 それよりも頂きましょう」

「そうだな」


イカにタレを塗って炭火で焼き始めるラビー。

タレとイカの香ばしい香りが広がる。


「最初から焼いて出せ、 って思ったけどもこれは良いなぁ

店とかで出したら流行りそう」

「匂いが良いねぇ」


騎士達の態度が軟化する。

そして焼きたてのイカに被りつくラビー。


「あち、 あち、 美味しい!!」

「これは旨いなぁ!!」


騎士達も喜んで食べている。


「刺身も新鮮で美味しいですね!!」

「そうだろうそうだろう、 良い食べっぷりだなぁ」

「この醤油・・・良い物を使ってますね!!」

「ここの醤油だ」

「美味しいですね、 持って帰ろうかな」

「良いけど何か交換材料は有るのか?」

「ドラゴンの鱗が何枚か有ります」

「何に使えと」

「高温でサクッと揚げてフライに」

「食えるのかよ」

「折角ですし実演しますよ」


ラビーは油と鍋を用意して魔法で火を起こしてドラゴンの鱗をフライにした。


「火柱凄いなぁ!!」

「魔法で天井に氷を張ってカバー!!」

「おぉ!! 見事!!」


サルサソースを付けてドラゴン鱗フライを提供するラビー。


「店長のドラゴンの鱗フライはやっぱり旨いなぁ」


もぐもぐと盾の騎士が食べる。


「これは旨い!! エビの天婦羅に並ぶな!!」

「そうですねぇ!!」


網元達も大満足である。


「海老の天婦羅有るんですか?」

「あぁ、 だが今日は残念ながら海老が無いんだ、 美味しいから直ぐに食べてしまう」

「海老も良いですよねぇ、 欲しいなぁ」

「アンタのお陰に助かっている、 勉強するぞ?」

「是非ともお願いします」

「・・・・・」


タコつぼ漁師が黙って黙々と食べる。


「タコつぼさん、 美味しくなかったです?」

「いや、 少し思う所が有ってな」

「?」

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