流石に王子でも厳しい(王子side)

サンライズ一行は検疫を終えてビア帝国を横断して

さっさとシクラメン合衆国に入りたかったのだったが

ビア帝国とシクラメン合衆国の国境の街で足止めを喰らった。


「スノー、 もう一度言ってくれ」


高給宿屋のスイートルームに宿泊したサンライズ王子は

眼の前に立っているスノーに苛立ちながら尋ねた。


「えーっとですね・・・まず我々は国内に入る目的の為の

書類の申請を行わなければなりません、 今回の場合は法国への移動なので

『通過』になります、 よって通過申請書が必要になります

馬車を使っての移動になりますので馬車所持申請書も必要になります

そして申請書の次は入国申請書も必要になります」

「要するに三枚の書類は必要と言う事だ、 その書類は役所で申請して貰えると」

「えぇ、 そうですね」

「ここに来る前に見えた、 あの物凄い行列の役所でか」

「はい・・・」

「・・・・・」


頭を抱えるサンライズ。


「しかも3枚の申請書だけじゃありません

3枚の申請書を書いて貰い、 尚且つ国境の入国審査を受けなければなりません」

「あの物凄い行列の」

「はい・・・・・」


うんざりするサンライズ。


「・・・・・私は王子だぞ? 何とかならないのか?」

「大使館に連絡を入れましたが、 国の用事では無いので特権の使用は厳しいかと・・・」

「殿下、 これはもう裏金を積むしかないでしょう」


アスパルの面倒を見ていたウルが進言した。


「裏金って軽く言うけどなぁ・・・大体幾ら払えと?」

「一人頭10万Gですね」

「じゃあ40万Gか・・・痛い出費だ・・・」

「いえ、 往復なので倍の80万Gです」

「何を言っているスノー

法国の間にも国境は有るんだから更に倍の160万Gだ」


彼等の頭には置いて来たウィノの事は既に頭にない。


「・・・・・お前達、 自分達の分は自分で払えよ」

「えぇ!! お金なんて持って来てないですよ!!」

「そうですよ!!」

「馬鹿を言うな!! 幾ら王子でもポンと160万Gも出せるか!!」

「でもこのスイートルームって一泊15万Gですよね?」

「四人で15万Gならば安いだろう、 馬鹿を言うな」

「・・・私は正直出せないですが、 私は司教の息子ですので

私が居なければ法国との交渉に差し支えが有るかと」

「わ、 私が居なければ道中の水の問題が出て来ますよ!!」


スノーとウルが自己アピールをする。


「・・・アスパル、 如何思う?」


ベッドで横になっているアスパルに尋ねる。


「・・・とりあえず静かに寝かせてくれませんか? 傷に響く」

「・・・外のテラスで話そう」

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