私が一番欲しかった物

辺境伯とラビーが店で対面でもぐもぐしながら話し合っている。


「女将よ、 気持ちは分かるが難しい話だよ」

「そうなんですか」

「私も辺境伯を名乗っているがこの森から亜人域を守る役目の役人・・・

と言うか番人の様な物だ、 腕っ節には自慢が有るがそういう問題解決出来る程の

財力は無い」


焼いた鳥皮串を食べながら話し合う。


「おいっすー、 今日は良い物持って来てやった・・・

って何だ二人して辛気臭いな、 如何した?」


マクスウェルが付き人とやって来た。


「最近の路上生活者の子供について話し合っていたんですよ」

「路上生活者の餓鬼ねぇ、 それ所か大人の路上生活者が居るんだから

そっちも何とかしねぇと駄目だろ」


ラビーと辺境伯の居る席にどかっと座るマクスウェル。


「そもそも亜人達は今戦国状態じゃねぇか」

「そうなんですか?」

「八王が争っていますからね、 確かに戦国状態ですわ」

「そんな中で餓鬼を助けましょうってならんだろ」

「でも騎士達はそんなに殺伐とはしてませんが・・・」

「人間と亜人達の境界の境目は亜人全体で守りましょうって言う協定が

八王内で組まれている、 俺達は反発し合っているがそれは守っている」


マクスウェルが当然の様に鳥皮を食べる。


「うまっ、 白飯が欲しい」

「持って来るにょー」


のたのたとライスを持って来るでぶ妖精。


「うむ、 兎も角だ、 俺が八王を皆殺しにして亜人域を統一した暁には

弱者救済も止む無しだ」

「気の長くなる話ですねぇ・・・少なくとも後1000年はかかるんじゃないんですか?」

「まぁそれ位はかかるか」

「その間に子供達は何人死んでいくんでしょうかね・・・」

「そうだな、 まぁ俺達は俺達で生きていくしか無いだろ」


鳥皮で一気にライスを平らげるマクスウェル。


「付き人君は如何思う?」

「子供には厳しくした方が良いと思う

子供の頃に優しくして大きくなった時に裏切られたら立ち直れない」

「・・・そう・・・カレー食べる?」

「お持ち帰りで」


かたくなに人前で食事をしようとしない付き人であった。


「あ、 そうだマクスウェルさん、 良い物持って来たってなんですか」

「忘れてた、 じゃーん、 ドアベルー」


如何言ってドアベルを渡すマクスウェル。


「ドアベル?」

「客が入った時にベルが鳴る様になる」

「ふーん・・・」

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