炭職人
「ごめん下さい、 騎士団から紹介を受けた炭職人です」
炭を背負った火かき棒の頭部の亜人がやって来た。
「あ、 どうもー、 昨日の今日で来るとは思わなかったですよ」
「いえいえ、 ウチは家族経営でしてね
色んな所から問い合わせが有れば直接行きますよ」
「騎士団とも取引を?」
「いえいえ、 騎士団の方々とは取引は無いですよ
ウチは本物の備長炭を作っているのでもっぱら炭火焼の店としか取引しないんですよ」
「そうなんですか、 じゃあ実力は折り紙付きって事ですね
ちょっと炭を拝見」
炭を一本取り出して叩く、 金属みたいな音がしており
手を見てみると綺麗なままである。
「試供品は有ります?」
「良いですね、 是非とも試して下さい」
そう言って何本か炭を渡す炭焼き職人。
七輪に炭に火を点ける。
「おぉ・・・爆ぜも無いし良い炭ですね」
「ウチは他とは違いますよ他とは、 しかし店主さんはお若いのによく勉強なさっている
最近は炭さえ使えば良いという店もありまして
ウチの炭よりもオガ炭や安い紛い物を買う店も出てくる始末」
「それは問題ね、 御客さんが相手なんだから良い物を使いたいと思うじゃない
焼き鳥焼いて見ますけど如何です?」
「良いんですか? 頂きます」
焼き鳥を焼くラビー、 作っておいた焼き鳥のタレを
昨日手に入れたコカトリス肉に付けて焼く。
パチパチと心地良い音を出しながら焼けていくコカトリス。
「おぉ・・・これはコカトリスの肉ですね?」
「分かります?」
「意外とグルメなんですよ、 炭焼き職人がグルメとか意外ですか?」
「いやいや、 寧ろ火を扱う職業なんだから火が密接に関わる料理とか
凄い拘りそうだと思います」
「分かってくれてうれしいです」
「いえいえー」
そうこうしている内に焼き鳥が焼けた。
二人で焼き鳥を食べる。
「やはり炭は違う!!」
「うわ・・・」
「如何しました」
「味付けがちょっと特徴有りますね、 いや美味しいんですけどちょっと吃驚」
「唐辛子で味付けをしてます、 あ、 外の赤い実ですね」
「アレを味付けに? 面白い発想ですねぇ・・・」
「いえいえ辛党な物で」
「また個人的に客として来させて頂きますよ」
「ええ、 今日の分の取引は如何します? 食材色々有りますけど」
「そうですね・・・じゃあ何か良い食材有りますかね」
「そうねぇ・・・」
そんな感じで炭職人と仲良くなったラビーであった。
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