クッキングバトルを終えて・・・

キッチンスタジオからレストラン・スコヴィルに戻った一同。


「なぁ女将さん、 ドラゴンの鱗揚げを出せば普通に勝てたんじゃないのか?」


盾の騎士がラビーに尋ねる。


「私は麻婆豆腐が食べたかった、 から作った」

「そんな理由かよー・・・」

「ドラゴンの鱗揚げ? 何それ? 気になる料理だな

是非とも頂いてから帰るとしようか」


マクスウェルは椅子に座った。


「これです」


ドラゴンの鱗揚げを提供するラビー。


「ほう・・・ほう・・・これは凄いな・・・」


サルサソースに付けて食するマクスウェル。


「サクサクして美味!!」

「・・・・・」


辺境伯が興味深そうに見る。


「食べる?」

「いや、 結構、 では女将、 君の店の営業権と君の生存権は保障しよう」

「ありがとうございます」


ラビーは頭を下げる。


「では我々は失礼するよ、 またな!!」


マクスウェルが店から出て行き、 ADが頭を下げて後に続いた。


「・・・・・とりあえず私にも鱗揚げ貰えるか? コイツにも」

「分かりました」


盾の男と万年筆女にもドラゴンの鱗揚げを提供し食される。


「・・・・・」


万年筆女からインクが溢れ出す。


「こんなに美味しい物を作れる人に適う訳無いじゃない・・・!!」

「落ち着いて下さい、 おでぶちゃん」

「はいにょー」


タオルとインクを受け止める為にタライを準備するでぶ妖精。


「最初から言っているが私は女将さんの料理の腕に惚れ込んできているだけで」

「でも貴方は私に会いに来てくれないじゃない!!

会いに来ているだけでも私よりも・・・・・うぅ・・・」


インクが涙の如く溢れる。


「・・・・・あぁ・・・次から一緒に食べに来るか?」

「・・・来る・・・」


インクが止まりぐす、 と鼻を啜る様な音がした。


「じゃあ女将さん、 今日の支払いは・・・」

「このインクで良いですよ、 とても美味しいですし」

「そうか、 それならいいんだ、 じゃあな」


盾の男と万年筆女が店から去った。


「・・・・・何だか今日は疲れたわね・・・」

「おでぶちゃん達も蚊帳の外だったにょ・・・」

「そうね・・・今日はもう寝ましょうか」

「そうするにょー・・・」


クッキングバトルと言う予想外の事態になった物の

店の営業権と自身の生存権を確立する事が出来たラビー。

店にも常連客が出来ても軌道に乗り始めた。

何だかんだ言って充実して来た毎日にワクワクしながらも

疲労を感じたラビーはでぶ妖精達の上で眠りに付くのだった。


「おやすみー・・・」

「おやすみにょー・・・」


にょーにょー言うでぶ妖精布団にも慣れて来た。

明日は何が起こるかな?

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