麻婆豆腐が食べたい!!麻婆豆腐が食べたい!!

「麻婆豆腐が食べたい」


ぽつりと思い立ったラビー。

前世での記憶をフル活動させて麻婆の方は何とか用意する事が出来た。

豆腐なんて物はこの世には存在しない

ならば豆腐を作らなければならない。


当然ながら豆腐を作るのには様々な工程を踏む必要が有る。

まずは大豆を洗浄して大豆を水に付けて置く、 水温は15度で15時間が理想である。


店の事を済ませて、 睡眠、 起床。


丁度良い時間になったので大豆の水分を切り

水に浸けた後の大豆の約1.2倍程度の水大豆を摩り下ろす。

摩り下ろした物を生呉と言う、 生呉を鍋に入れて焦げ付かない様に

柄の長いしゃもじで静かにかき混ぜて沸騰したら一度火を消す

少し泡がおさまったら、 改めて弱火にして約10分煮ます。


「大豆の良い匂いがするにょー」

「盗み食いしたらマジで怒るよ」

「にょーん・・・」


食べ物の恨みは恐ろしいのだ。

生呉を煮ている間にザルにこし布をセットしてボールの上に置く。

生呉を2,30分煮たら火を止めて生呉をこし布にすくい入れる。

生呉の入ったこし布をヘラなどを使い絞る。


「あっち!! あっち!!」


この時のしぼり汁が豆乳である。

因みに冷める前に絞らないと絞り難くなるので冷める前に絞らなければならない。


「豆乳とおからの出来上がりっと」

「にょーん、 おからちょうだいー」

「はーい」


おからは本当に沢山出るのだ。


「ごめん下さい」


何処かの貴婦人の様な体付きの頭が万年筆の女性がやって来た。


「いらっしゃいませ」

「あらお豆の良い香りね、 貰えるかしら?」

「まだ出来上がっていないので・・・」

「あらそう、 ならばお紅茶でも貰えるかしら、 お代は角砂糖で」


角砂糖とは中々手に入らない物をポンと出す人だなとラビーは思った。


「ちょっと長く居るから沢山貰えるかしら」

「ハイ分かりましたー」


ポットとカップを女性の前において注ぐラビー。


「御嬢さん、 中々良い手付きね、 何処かの御令嬢だったのかしら?」

「恐れ入ります・・・」


にこやかに厨房に戻るラビー。


厨房に戻って豆乳を温めるラビー、 目標温度は75~80C°

温度計を使ってしっかり測るラビー。


そして溶けたにがりを豆乳の中に投入する。

しゃもじをつかってゆっくりと入れる。

にがりを入れ終えたらゆっくり2~3回静かにかき混ぜ2,30分

鍋に蓋をして蒸す、 豆乳全体が凝固する。


「中々良いお点前ですわね」

「ありがとうございます」


女性を見ると優雅に紅茶を飲んでいた。

外の様子を伺っている様だった。


「・・・・・」

「待ち合わせ、 ですか?」

「そんな所かしらね」


紅茶を飲む女性。


時間が経ったので豆腐箱にさらし布をセッティング

固まってきた豆乳を豆腐箱に流し込み豆腐箱に重石を乗せる。

豆腐箱にいれる前の状態を汲み出し豆腐と呼び、 これはこれで旨いが

麻婆豆腐にしたいのでスルー。


豆腐が固まったら箱からそっと抜き

仕上げ布に包んだまま水の中に移して仕上げ布を取る

その後30分くらい水にさらすとにがりのアクが抜ける。


「あともうちょっとで麻婆豆腐が食べられるわね」


ふふふと笑うラビー。

店の様子を見に戻ると


「・・・・・」

「・・・・・」


常連の盾の騎士と万年筆女が睨み合って? いた。

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