赤い森に追放ですって!?望む所ですわ!!
「所で愚弟、 いやもう国外追放するのだから弟ではないのですね」
「・・・」
ウルが俯く。
「私は何処の国に追放されるのかしら?」
「国では無い、 森に追放します」
「森・・・赤い森ですわね」
赤い森、 通称レッドフォレスト。
カラメル王国の東部の殆どを覆うこの森はとてつもなく危険な地域として知られている。
この森の木々は葉が赤く赤い木の実を付ける事で知られ
この赤い木の実は毒性が有り、 一口食べただけで悶え苦しむと言う。
他にも食べるのも辛い植物が生え
それらの食べ物を常食する獣達も気が立っており。
まさに紅蓮地獄である。
「実質死刑ですわね、 さっさと殺せば良い物を」
「姉上・・・そんなに自分を卑下なさらずに・・・」
「卑下しているつもりは無いですわ、 サンライズ殿下には失望しましたよ」
「失望?」
「愛する女を殺そうとする者を殺す度胸も無いとは
そんな男の妻にならずにほっとしていますわ」
「っ」
「押さえてウィノ」
フロートがウィノを制した。
そんな二人を見て冷笑するラビー。
「殺しても構いませんのに・・・」
「何でそんなに捨て鉢なんだ!!」
「死を覚悟している、 と言って頂けますか?
ウィノ様、 貴方が主を守る剣の様に
私は貴族としての矜持を守る為の矢になりたい
あの平民上がりが未だに息をしているのは腹立たしいが
私の想いが足りなかったと自省しましょう」
「自省・・・か、 また君は彼女を、 アスパルを殺しに行くつもりかい?」
「いえ、 もう結構です
貴族の子女として生まれて貴族としての義務を果たし
見事に敗れた女としてこれからは生きていくでしょう」
意外そうな顔をするフロート。
「思ったよりも淡泊だな・・・もっと執着するのかと思ったよ」
「未来の妻を殺そうとした者を許す軟弱者にそこまで執着しませんよ」
「ウィノ、 次剣抜こうとしたら剣を折るぞ」
ウィノに対してフロートは言った。
「じゃあこれは余計だったかな」
「これ?」
フロートはラビーに手鏡を見せた。
鏡にはラビーの姿が当然が映っているが首筋に奇妙な物が見える。
何かしらの紋様の様で魔術的な力を感じる。
「これは?」
「呪いだ」
「まじない?」
「そう、 この大天才フロート様が太古の知識から読み起こした太古の魔術だ」
「要は埃被った骨董魔法と言う事ですわね」
フロートが不機嫌そうな顔をする。
「このアマァ・・・」
「だって太古の魔術と言う事は廃れた魔術と言う事でしょう?」
「ふふふ・・・この魔術はな相手の行動を制限する事が出来るのだ!!」
フロートは狭い馬車の中でポーズを取りながら解説する。
「・・・・・はぁ、 それは中々に便利ですけど、 何故廃れたんですか?」
「あぁ、 使う度に使用者、 つまり俺の寿命が縮むんだ」
ぎょ、 っとするウルとウィノ。
「ふ、 フロートさん・・・そんなの初耳ですが・・・」
「言ってないからな」
「き、 君が寿命を削ってまで王子に忠誠を誓っていたとは・・・
勘違いしていた様だ許してくれ」
「気にするな」
「まぁ相手の行動を制限するとしたらその位のリスクは当然ですわね、 それで?
私に何と呪いをかけたのですか?」
「君は赤い森から二度と出られなくなる」
「そうですか」
興味が無さそうにラビーは答えた。
「他人事の様だな」
「私の人生は私の物ではありません故に」
「・・・・・」
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