【更新休止】婚約破棄された令嬢の激辛料理経営禄

@asashinjam

卒業パーティで追放ですって!?甘いのでは無くて!?

「ラビー・ストロング公爵令嬢!! アスパルを虐めた罪により貴様との婚約は破棄する!!」


カラメル王国学院の卒業パーティでカラメル王国第二王子サンライズが

傍らにピンクブロンドの少女と共に立ちながら叫んだ。


「はて? 一体何の事ですかね?」


件の公爵令嬢ラビーは赤い縦ロールを揺らしながら首を傾げた。


「恍けるな!! 貴様がアスパルを虐めた事は知って居る!!」

「そんなに言うのなら証拠は有るのでしょうね!!」


ラビーはキッとサンライズを睨んだ。


「うっ・・・」

「殿下、 しっかりして下さい」


サンライズの側近の一人騎士団長の息子の見習い騎士ウィノが支える。


「ラビー様、 貴方がこのアスパル男爵令嬢の教科書を盗んだ所を見た方が居るのですよ」


ウィノが代わりに喋る。


「あぁ、 それは勘違いですわ、 私はアスパル男爵令嬢の教科書が落ちていたので

彼女の鞄に戻して差し上げたのですわ」

「そう、 貴方は一旦盗んでから戻したのです」

「何の意味が有るのですか?」

「・・・アスパル男爵令嬢の教科書には恐ろしい罠が仕掛けられており

並の人間ならば数回は死ぬ様になっています」

「まぁ恐ろしい、 私がそれを行ったと?」

「えぇ、 この学院で教科書にデストラップを仕込める知識を持つのは

王妃教育を受けていた貴方だけです」


ウィノがそう言い切った。


「ちょっとした悪戯でしたのよ」


そう言ってラビーは扇子で口元を隠す。


「い、 悪戯で人を殺すのか!!」


サンライズが叫ぶ。


「ならば君がアスパルを階段から突き落としたのは何だ!? あれも悪戯か!?」

「あれは殺そうと思いました」

「殺っ!?」

「私としては平民上がりの男爵令嬢と貴方が過ごす方が余程問題だと思いますよ」

「何だと!? 差別するのか!!」

「平民に貴族の義務が果たせるかぁ!!」


ボキッ、 と扇子を圧し折るラビー。


「平民は貴族に仕える物と言う意識が有りますが真実は逆です!!

貴族は平民の為に政治を行っているのです!!

その政治の為の貴族の責務、 義務をその平民が果たせると!?

しかもその平民上がりの娘は私の次期王妃の座を奪おうとしている!!

死すら生温い!!」


啖呵を切るラビー。

前に出る彼女の前にラビーの弟のウルが立ちはだかる。

彼もサンライズの側近の一人である。


「姉上・・・

貴方が如何にこの国の事を考えて貴族としての矜持を守ろうとしているのかは分かります

それでも人としての道理を無視してはいけません」

「君の言う事も尤もだ、 現に私は断罪され処刑される事になるだろう」

「え、 いや、 お前は国外追放するつもりだが」


サンライズの言葉に睨みつけるラビー。


「次期王妃を殺そうとした女を生かすつもりか!!」

「え、 いや・・・」

「国外追放なんて生き恥を晒すつもりはない!! 殺せ!!」


ばっ、 と手を広げるラビー。


「い、 いや・・・」

「棒立ちの無抵抗な女を殺すのは抵抗が有るか、 ならばこうしよう」


手が燃え始めるラビー、 彼女の魔法の一端である。


「なっ・・・」

「死ねぇアスパル!!!」


火球をアスパルに飛ばすラビー。


「ひっ・・・」


アスパルはサンライズにしがみつく。


「危ない!!」


司教の息子でありサンライズの側近であるスノーが

シールドを展開してアスパルとサンライズを守った。


「こんの!!」


二発目を撃とうとしたラビー、 しかしラビーの背後から叩きつけられる風の奔流!!

ラビーは弾き飛ばされて倒れた。


「ぐがっ・・・」


ラビーは動こうとするも体が思い通りに動かない。


「女がそんなに暴れるなよ、 危ないだろ」


にこりと青髪の優男がラビーを後ろから抑える。


「あ、 貴方は・・・フロート・・・」

「御明察です」


外国からの留学生魔術師のフロートがにこり、 と笑う。


「・・・貴方が側近に加わっていたとはリサーチ不足ですね・・・殺しなさい」

「えぇ・・・」


ドン、 と言う風の轟音と共にラビーの意識は途絶えた。








次にラビーが目覚めたのは馬車の中であった。


「ここは・・・」

「姉上を国外追放する為の馬車の中ですよ」


馬車の中に居たウルが答える。

ウルの他にフロートとウィノが居る。


「私を殺したのでは無いのか?」

「殺しましたよ」


フロートが赤い縦ロールを見せる。

ラビーが確認すると自分の縦ロールが無い、 つまり・・・


「髪は女の命、 これで貴女を殺した事になる」

「いや、 そうはならないでしょうに・・・」


退屈そうにラビーは吐き捨てた。

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