人間不信
中下
第1話
読者諸君、私は人間が嫌いであり、信じることが出来ない。恐らく読者の中にもそのような社会に於いての異物がいるだろうが、私の場合そのような生半可なものではないのだ。例えば物を買う時もそうだ。きちんと相手の手と眼を見るのだ。私の貴重な財産を奪われないようにするのには当然の行為だが、どうやら一般社会だと私のこの行動は異常らしい。私の普通は社会の普通とは程遠いようである。
そのようにして34年間友人も恋人も作らず生きてきた私になにかと絡んでくる寄生虫が現れた。名は「お松」というらしい。新しい小説の宣伝担当だそうだ。売れない小説の宣伝担当だなんて、こいつはすぐに辞めてくいくだろうと思っていた。
しかしこのお松、異常な程に楽観的なのだ。私が小説の展開に行き詰まり、〆切が明日に迫ろうとも「暖剤さんなら大丈夫!」だそうだ。全くもってつまらない私の嫌いな部類の人間だ。いやはや、早く辞めてくれないか。とっとと私から離れなさい。
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