第25話 惨め
いつもの様に彼女のアパートに泊まり帰る時間になった。彼女から、今から誕生日を祝うから品川プリンスホテルに送ってくれない?
うん、わかったよ。友達の誕生日会かな?ホテルに近づいた。
私彼氏にプレゼント買ったの!あ、ここで大丈夫だよ、ありがとう!
これが彼女に会った最後だった。
俺は、返す言葉もなく無言で見送った。
帰り道の高速で1人泣きながら走った。
彼女は上京し新しい生活・新しい人間関係に全てが新鮮で毎日が輝いていた。それに引き替え高校を卒業し地元の工場で働いて、同じ生活・変わらない環境そしてお金もない田舎者の俺。
本当のところ、彼女は同情して可哀想な俺に一緒に付き合っていてくれていただけだった。
悔しさや悲しさ色んな感情が溢れた。それから女性を信じた事は一度もない。20代前半の俺には辛すぎる出来事だった。
この辺りから彼は変化していったんだと思う。悔しさをバネに自分で全てを切り開いていった。お金が欲しかった訳じゃない、家族を助けたかった、大切な人に愛されたかったただそれだけだった。
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