第7話

毬藻が向かったのは


南禅院


庭園を眺めながら屋敷をぐるりと回る


ひんやりと心地よい気が足を冷やし


足を擦らせながらゆるりと回る




如何にも丁寧そうに飾られたものには人が蠅のようにたかり


庭の紅葉はレンズで切り取ってそそくさと行ってしまう


現代とはかくも無情でこうも風情を失くしてしまったかと


仏像に手を合わせたとて


その仏の事は何も知らず


布施をするわけでもなければ念仏を唱える訳でもない


ただ己の願いを声高に聞き入れてもらおうとし


5円を投げ入れるのである


何が楽しくてカランと乾いた音が返るの聞くのであろうか




庭の池に映る木々


水面に浮かぶ紅葉


寒さで凝然じっとしている鯉の群れに気が付いた者は


如何ほどいたのであろうか

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