第4話相談
あの肝試しから数日が経った。
私は今日も何事もなく会社へ出社する。
昼休憩の時間、お茶を啜りながらメールを開くと友人から連絡が入っていた。
(どうかした?)
(今日、アタシの家来れる?)
(うん、だいじょーぶ)
(ちょっと見てもらいたいのがあるんだけど)
(おk。終わったら行くね)
「見てもらいたいのかぁ」
なんだろ?
湯飲みを洗いに席を立つ私の耳に、あるニュースが流れるのは届かなかった。
その日の終業後、私は慣れた足で友人の家へ行った。
家に着いてチャイムを鳴らすと、友人は疲れた顔で迎えてくれた。
友人と会うのは肝試し以来だ。
「お疲れ。上がって」
「うん、」
ソファで寛いでいると、友人がコーヒーを持ってきてくれた。私の大好きなミルクと砂糖たっぷりのお気に入り。何も言わなくてもスッと出してくれる位、私たちは親しい時間を過ごしてきた。
「ありがと。あつっ」
「貴女、いつもそれよねー」
「何回やっても学ばないんでー」
「ふふっ、はいはい」
ああ、よかった。笑ってくれた。
疲れてそんな顔してるあなたなんてらしくないわ。
「で、メールで言ってたのって?」
「うん、これ」
友人がテーブルの上に置いた物は、見たことがない万年筆だった。
「?これ、あなたの?見たことないけど」
友人が好むような物でもなかったと思う。
「この前、動画の病院行ったでしょ?電話が鳴ったあの」
「うん。それが?何もなかったよね?」
「あの後あったのよ」
友人は話始めた。
あの病院で、私が鳴るはずのない電話に出ている時、友人は同じ机に置かれたメモ書きと万年筆を見つけた。
きっとこれが動画に出ていたメモだ。
あの日二人で観た動画は、同じように電話が鳴った後出なかった。その代わり、机に残っていたメモの番号にかけ直したのだ。
そしてその後、ガラスに看護婦の姿が写る。
おそらく、噂の看護婦じゃないかと思う。
実は、二人が入った部屋の扉には「立入禁止」のテープが貼られていた。
何か事件があったということだ。あの病院で起こった事件と言えば、看護婦と医師の心中事件。
動画の看護婦はその看護婦で確定だろう。
で、私が電話に出ている間見つけたメモの横に置かれた万年筆を手にとって見ていたらしい。
そして、思わず。本当に思わずそれを持ってきてしまったのだと言う。
その万年筆が、今テーブルの上に置かれているそれ。
私を呼んだのは、一緒に万年筆を病院のあの部屋へ戻しについてきて欲しいのだという。
「行くけど、何で急に?」
「あのね、これ」
そして、次にテーブルに置かれた物に私は言葉を失った。
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