第60話 胸躍る魔法少女

「えっと、確かこっちだよね?」


 ゲーミングモールに入り、学校でヒナに教えてもらった道を、思い出しながらゆっくりと歩きだす。


 昨日、強引に参加させられた戦いが終わった後、本当に色々なことがあった。

 ユラちゃんたちと会って、友達登録をしたり、ほかの部員の人たちに話しかけられたり。

 内気な私からすれば、もう一年分くらいは喋ったんじゃないかというぐらい、色々な人と話をし、しきりに謝ったり仲直りをするヒナを遠巻きに見守っていた。


 そういえば、ヒナとユキミちゃんが最後に倒した元プロ選手、確か名前がタヌキチポンさんだっけ? あの人に改めてヒナとユキミちゃんが、チームへ招待されたりもしていた。


 結局二人とも、エンジョイ勢だからって断ってたけどね。


 それとユラちゃんとユイちゃんの話も、無事解決した。

 というのも、ユイさんが選抜クラスを抜けると宣言したからだ。


 ユイさんにとって、ヒナが今も楽しくゲームをプレイしているということがわかった以上、もう選抜クラスでいる理由がなくなったらしい。

 ユラちゃんからも、勘違いがあったとはいえ、すごいお礼を言われてしまった。


 ヒナと元部活動の仲間たちとのわだかまりがなくなり、ユキミちゃんともフレンド登録をしたことで、無事今回の騒動は終わりを迎えたというわけだ。


 ヒナが倒されたときなんかは、本当にどうなるかと思ったけど、終わってみるとハッピーエンドな展開で、部外者な私でも自然と笑顔になれていた。


 そんなことがあった結果、せっかくなら今日は普通に遊ぼうかと、みんなでゲーミングモール内にあるカフェで待ち合わせをしているというわけだ。

 遠くにヒナから教えてもらったカフェが見えてくる。店の前に並べられたテーブルには、すでに見慣れた顔ぶれが勢ぞろいしていた。


「あ、いた! おーいみんなー!」


 声をかけて駆け出す。まさか私が本当にゲーミングモール内で、待ち合わせをすることになるなんてね。


「迷わずこれたじゃん!」

「シズネさん、待ってましたよ!」


 ユキミちゃんとヒナが、テーブルに迎え入れてくれる。


 こうして私たちは、これからもたくさんゲームをして、楽しい思い出を作っていく。

 時にはケンカしたり、辛いこともあるかもしれないけど、大丈夫!

 一緒に遊びたいって思える友達がいて、こんなに楽しいゲームがあるんだから!


「それじゃあさっそく『MKDマジカル・ナイト・ドリーミング』! はじめよっか!」


 ヒナの声に立ち上がる。

 私たちは胸躍る魔法少女になるため、これからも戦い続けるんだ!

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バトロワゲームは魔法少女で! 睦樹裕太 @mutuki0224

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