不幸な少女ちゃん

葵流星

不幸な少女ちゃん

とある時代のとある国に一人の女の子が居ました。

彼女には名前がありましたが、少女ちゃんと私は呼びます。


少女ちゃんは、とても可愛らしい女の子でした。

それに、彼女はとても頭が良く、人々から期待されていました…。


けれど、少女ちゃんは幸せではありませんでした。

少女ちゃんのお父さんとお母さんは2人とも働いていて一緒に居ることが少なく、少女ちゃんは2人のどちらかにご飯を作ってもらって居ました。


少女ちゃんは、学校が好きでした。

なぜなら、少女ちゃんをいじめる友達もいないし、仲の良い友達も居たからです。

少女ちゃんは、とてもえらい子でした。

両親が仕事でいそがしいことを知っていて、両親に甘えたい気持ちを抑えて勉強をがんばって居ました。


…けれど、少女ちゃんはとてもさみしがりやなので寝るときは大きなぬいぐるみのくまちゃんと一緒でした。


少女ちゃんは、くまちゃんに名前をつけていましたが、その大きなくまのぬいぐるみを私はくまちゃんと呼びます。


くまちゃんとは、小さい時から一緒でした。

くまちゃんは、とてもふかふかで少女ちゃんはハグをするのが好きでした。


そして、少女ちゃんが10才の時。

少女ちゃんはくまちゃんと一緒にお出かけをしました。

少女ちゃんはお出かけの途中、車に轢かれてしまいました。

少女ちゃんは、運転手のお顔も車の種類もわかりませんでした。


…少女ちゃんは、死んでしまいました。

けれど、少女ちゃんはこの世界の近くに居ました。


少女ちゃんは、棺に入った自分の顔を見て泣き出してしまいました。

棺には、くまちゃんも一緒でした。


少女ちゃんはくまちゃんを抱きかかえて、長い間お墓の前で泣いていました。

少女ちゃんは、人は死ぬと死後の世界に行くと教えられていました。

けれど、宗教や考え方が違うと同じところに行けなかったり、1つの神様を信じる人と、たくさんの神や仏さまが居ると信じている人が居るので死んでしまった後どこへ行くのかわからない人も居ると先生から教えられました。

そして、お金を持って行かないと行けないところもあると言われていました。


少女ちゃんは、お金を持っていませんでした。

くまちゃんもお金を持っていません。


「ねえ、くまちゃん…わたしどこに行けばいいのかな?」


そう少女ちゃんはくまちゃんにつぶやきました。

くまちゃんは、ちょっと悲しげな顔になりました。


くまちゃんが話せたらいいのに…。

そう少女ちゃんは思いました。


そして、何日か経った日の夜。

大きな声が聞こえました。

少女ちゃんはくまちゃんを抱えながら恐る恐るお墓に隠れながら見ていると、どうやら男の人達が居ました。

少女ちゃんは、気になって男の人達の方へ行きますが少女ちゃんを見た、男の人達は怖くてなって逃げていってしまいました。


それからも、何人かの人に話かけようとしましたが逃げらてしまい。

何か水をまいたり、誰かに怒鳴りつける人が来たり、カメラを持った人が来たりしましたがすぐに逃げるように帰ってしまいました。


少女ちゃんは、悲しくなってくまちゃんと一緒に町に行きました。

お昼なので、人が大勢います。

少女ちゃんは鏡の前で髪を整えて、お店からお花や先生が必要だと言っていたお金をお店から少しもらいました。


そして、町を探検しているとお母さんと小さい頃によく来ていたパン屋さんに着きました。


「お母さん…元気かな…。」


少女ちゃんは、お母さんとお父さんのことが気になり家に帰ることにしました。

少女ちゃんは、パン屋さんのパンを貰って食べながら家に帰りました。


家に帰ると家の表札が変わっていることに気がついて中をのぞいてみるとそこには、知らない家族が居ました。


少女ちゃんが窓からのぞいていると、小さな男の子が手を振ってくれました。

少女ちゃんも手を振って、バイバイと言って家を後にしました。


家を後にした少女ちゃんは、近所に住むおばあちゃんの家の前に救急車が止まっているのに気がついて見に行くと、おばあちゃんが救急車の隊員に担架で運ばれるのが見えました。

少女ちゃんは、救急車におばあちゃんと一緒に乗りました。


おばあちゃんは、死んでしまいました。

少女ちゃんは、そのことを自分の身体を見ているおばあちゃんを見つけたのでわかりました。

おばあちゃんの近くにはたくさんの人が居ました。


少女ちゃんは、おばあちゃんが死んでしまったことに気がついて泣いてしまいました。

すると、おばあちゃんは少女ちゃんに気がつきました。


「おやっ、こんなところに女の子が…。」


少女ちゃんは、おばあちゃんに抱きついて泣きました。

おばあちゃんは、優しく髪を撫でてくれました。


それから、少女ちゃんは自分の両親が離婚したことをおばあちゃんから聞きました。


しばらくして、おばあちゃんは棺の中に入りました。


「ねえ、おばあちゃんはどこに行くの?」


そう少女ちゃんは聞きました。

おばあちゃんは、世界の終わりまでどこかに行くよと言いました。

少女ちゃんは、もう会えないのと聞きましたがおばあちゃんは優しく少女ちゃんの頭を撫でるとまた会えるよと言い、少女ちゃんの前から消えてしまいました。


少女ちゃんは、友達の家に居ました。

少女ちゃんの友達は、いろいろなスケジュールとお勉強でいそがしそうでした。

少女ちゃんは、その友達の家にたまに行くことにしました。


少女ちゃんはお父さんとお母さんを探しに行きました。

けれど、中々見つかりません。


何年か経ってお父さんを見つけました。

お父さんは、他の女の人と小さな女の子と暮らして居ました。

少女ちゃんは、お父さんに声をかけますが少女ちゃんは自分の声が届かないことを知っていました。

少女ちゃんが部屋を出ると、お父さんは少女ちゃんの名前を呼びましたが気のせいかと言い、部屋を出ませんでした。


少女ちゃんは小さな女の子を見ましたが、小さな女の子は少女ちゃんに気がつきませんでした。

少女ちゃんはしばらく、お父さんとその家族を見て居ましたが自分とは違い、その小さな女の子は少女ちゃんの年になってもお父さんからの愛情を受けていました。


少女ちゃんはお母さんを見つけることができました。


けれど、少女ちゃんのお母さんは妊娠していました。

そして、小さな男の子とそのお父さんが居ました。


少女ちゃんは、お墓の前で泣きました。

少女ちゃんの家族は、離婚した後再婚しそれぞれ新しい家庭を築いていました。


少女ちゃんのお墓には毎年同じ月にお花が置かれていました。


少女ちゃんの友達にも両親が離婚した子が居ました。

この国では、離婚することはそんなに珍しいことではなかったので普通のことでした。


少女ちゃんが町を歩いていると、度々嘆いている人が居ました。

嘆いている人は悩みを抱えている人でした。


少女ちゃんは成長することがなくなりましたが、いろいろなことを考えたり学ぶことができました。

少女ちゃんは、嘆きの人達を遠くから見ていました。

嘆きの人達は死ぬと嘆くことはなくなり、穏やかな顔を浮かべたり、歌を口ずさんだりしていました。


少女ちゃんの友達を少女ちゃんは見ていました。

少女ちゃんの友達は、たくさん勉強して大学を卒業して、会社に勤め…それまでの間に彼女は嘆きの人になりました。

少女ちゃんは、なんとしようとは思いましたがなかなか彼女に気づいてもらえません。


ある日、少女ちゃんの友達は少女ちゃんと一緒に映っている写真を見て、泣きました。

そして、少女ちゃんの友達は彼女のお母さんに電話した後、命を自らの手で捨てました。


少女ちゃんは、少女ちゃんの友達の身体に近づきました。

少女ちゃんの友達は、うっすら目を開けていましたが閉じてしまい、おばあちゃんの時と同じ様に自分の身体を見ていました。


少女ちゃんの友達を少女ちゃんは、抱いてあげました。

少女ちゃんの友達は、成長していて少女ちゃんのことを忘れていましたが死ぬ直前に思い出したと言いました。

少女ちゃんは泣いてしまった彼女を抱いたまま、一緒に居たいと言いましたが彼女は悪いことをした人が行くべき場所に行くと言いましたが、ずっと見ていた少女ちゃんは彼女の上司を家族ごと呪い殺してしまおうと彼女に言いました。

彼女は躊躇していましたが、少女ちゃんは彼女の上司を許すことができませんでした。


なので、少女ちゃんは彼女にこう言いました。

生前の行いのみが裁かれるのであれば、生前に悪い行いをし続けている彼女の上司とその家族を死後の世界に導くことは悪い行いではなく、既に死んでいるあなたは生前までの行いが記録されているので問題ないと言いました。


そして、少女ちゃんの友達と少女ちゃんはその上司とその家族を死後の世界に誘いました。

しかし、彼女の上司は自分の行いが悪いことだとは思っていません。

それ、どころか生前の行いを全て良いものと自負している悪魔のような大悪党でした。

そして、その大悪党の血を受け継ぐ家族と悪魔に魅入られた女性を死後の世界に連れていくことができました。


「ねえ、少女ちゃん…これはいい行いなの?」


そう、少女ちゃんの友達は言いました。

少女ちゃんは、少女ちゃんの友達が優しい人であったことを知っていて、そのことを利用されてしまったことも知っていました。


少女ちゃんは、少女ちゃんの友達に…。

「あの人達が生きていたり、家族を作っていたら他の人達にも被害が出ていたから…いい行いだよ。」

っと、言いました。


少女ちゃんは、少女ちゃんの友達をおばあちゃんが言っていたどこかへ行く前に彼女の家族に合わせてあげたいと思いましたが、少女ちゃんの友達はもう会えないと言いました。


なぜなのか聞くと、自分を殺してしまったのだと言いました。

だから、善い行いをしていても…この悪いことのせいで上の世界ではなく、酷いことばかりされる下の世界にいかねばならないと言いました。

そして、少女ちゃんにありがとうと伝えると少女ちゃんの友達は消えてしまいました。


少女ちゃんは、泣いてしまいました。

なんで、彼女がこんなことになってしまったのかと悲しみました。

少女ちゃんは、たくさん泣いて考えてあることを思いつきました。


自分や友達のように産まれてしまったことで『不幸になってしまった』人達がいるのではないかと思いつきました。


そして、少女ちゃんの友達は産まれてしまったせいで悪い行いをしてしまい、彼女の上司も産まれることがなければ友達は死ぬ必要も無かったと思いました。


少女ちゃんは長い間考える時間があったので、おばあちゃんが言っていたどこかを人として子供が産まれてしまう前の人達が居る場所に行くことに決めました。


それは、親達がいくら子供を設ける儀式をしていても子供を受け取ることができないようにする為です。

少女ちゃんは、愛を信じていて、また類似する儀式が『人が産まれてしまった最大の不幸にわずかに幸せを与えるもの』であると考えたからです。


少女ちゃんが人が産まれないようにしていると、ある人がやってきて何をしているのかと少女ちゃんに聞きました。

ある人と言いましたが、声は人のようですが姿は化け物のようでした。

少女ちゃんはその人に自分は『人を幸せにしている』と答えましたが、ある人は少女ちゃんを叩きつけ、叱りました。

そして、ある人はこう言いました。


「あなたは、祝福を亡き者にしようとしているのか?」


少女ちゃんは、ある人にそれは祝福ではなく災厄であるといい再び叩かれました。

ある人は、あなたを下の世界に送るといいましたが少女ちゃんはそれはできないと言いました。

なぜなら、少女ちゃんは生きている時間はとても短かったのですが善い行いをしていたため上の世界に行けたからです。


そして、ある者になぜこんな悪い行いをしているのか聞きましたがある者はこれを善き行いだと言いました。

少女ちゃんは、なぜかと聞くと人々が不幸になるのは『産まれることではなく、人々のせいである』と言いました。


少女ちゃんはこれが堂々巡りであることに気がついたので、再び人が生まれるのを邪魔しようとしましたがある者はこれを制しました。


少女ちゃんは泣いてしまいました。

少女ちゃんの両親はもう自分のものではなくなり、友達も二度と会えなくなってしまったと言いました。

くまちゃんは少女ちゃんの涙で濡れてしまい、涙を流しているようにも見えました。


ある者は、あなたは長い間死んだ後も生き続けてしまった。

もう上の世界に行きなさいと言いました。


少女ちゃんは、お金がないから上の世界に行けないと言いましたがある者はお金はいらないと言い、上の世界にある彼女の場所に案内すると言い、少女ちゃんはある者の手を握り、上の世界へとくまちゃんと一緒に進みました。


上の世界にある彼女の場所では幸せな時の両親とおばあちゃん、友達が居ました。

ある者は、ここが君の場所だと言いました。

私は、世界の終わりまでここに居たいというとある人は顔をしかめてそれはできないと言いました。

それならばと、私は世界の終わりが来ても起こさないで欲しいと言い、ある人は私と約束してくれました。


少女ちゃんはこの場所が幸せのように感じましたが、不幸であることに変わりはありませんでした。

なぜなら、生きているうちにこのような幸せを得たかったからです。


これで、少女ちゃんである私の話は終わりです。

私は、これからも産まれて来る人を止めることが出来なかった。

ただ、産まれてしまう人達を不幸にしてしまった不幸な少女だった。


もし、人が生きていくこと…つまり、不幸の連鎖である儀式を止める方法を探さなければならないが、人類が生きてしまい続ける限りそれを止められないのだろう。

生きている人が自分に子供が産まれたという幻術を見せ続ければ…。


私は、また少女ちゃんに戻る。

死後の出来事を忘れ、眠り続けるのだ。

最後まで、不幸かもしれないが…。

世界の終わりが来ても幸せな夢を見続けられる。





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不幸な少女ちゃん 葵流星 @AoiRyusei

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