第25話 伝説の鍛冶師
自主トレを開始したが、知識が膨大すぎる。
時間も忘れてしまい読みふけっていると、時々サイゾーくん達が、俺の体をネコパンチして現実に戻してくれた。
【
分かった事は、時空魔法はほとんど使い手がいないという事。時空に関して理解やイメージが出来ないと魔法が発動しないから、かなり難しい。掛け算が出来れば官僚レベルのこの世界でアインシュタインとか次元論を理解しろって、そりゃあ、無理だよな。
目の前に広がる空間をイメージして、圧縮する。・・・・出来ちゃった。超重力の空間。なんか黒っぽい空間が、・・・それを地面に押し付けてみると、うおっ、地面が凹んだ。・・・・どうすんの、これ。
俺の持ってる【鑑定】で、空気中の成分を調べて特定の物質を取り出す、・・・・ダメだな。
特定の物質を取り出すってイメージじたいが上手く出来ない。魔法が発動しないってこういう事か、なら、さっき出来た黒っぽい空間を、もっと限界まで圧縮するとどうなる? おっ、球体になって・・・渦巻始めた?・・・大丈夫か?
《超重力地場:ブラックホールが発生いたしました。これ以上の圧力を掛け続けると、この仮想空間は消滅します。》
・・・・・・ ・・・・・・。
《圧力の減少を感知しました。ブラックホールはダイチの仮想空間にて時間を停止しました。SSSランク ”神滅の闇”と”極凍の雫”となりました。》
・・・・・・・・なんだって、・・・・最近、耳が遠くてな・・・・ンなわけあるかい!!
ダメだ。どう考えてもダメな奴だ。
と、とりあえず【鑑定】
《神滅の闇》
極小のブラックホール、超重力をかけて破砕し吸い込まれたものは全て消滅する。
《極凍の雫》
液体窒素-196度。大気中の成分78%を占める窒素に極圧をかけて発生したもの。これにアイスドラゴンの鱗を混ぜると全てが死に絶える絶対零度が完成する。
・・・・・・・・・・・・これは、俺の手に余る。神(自称)に祈ろう。
ミ・ハ・ル・・・さーん。
「こんのぉ、ばっっかもーーーん。」 右側面から、スッパーーン。
その、ハリセン、 いつ用意したんですか? 痛い・・・です。
「なぁあにお、しとるんじゃ!!」 手首を返して左から、スッパーーン。
本当に、痛い・・・です。
「誰が世界を滅ぼせと言うたんじゃ!」
そんなつもりは微塵もありません。自主トレしたら、こうなりました。
「空間収納や、転移魔法を学んだんじゃないのか!?」
えっー、アイテムボックス持ってるし、遠くに行く予定無いし・・・
「これ、どうしましょう?」
「どうも、なるかーーー!」 ゼイゼイ・・・。
少し落ち着きましょう、お茶入れますね。 あっ、砂糖は一つでのう、 わかってます。
「世の中に出せませんよね?」
「出せる訳なかろう、」
「ですよねー。」
「「・・・・・。」」
「俺、基本の七大魔法、水、木、火、土、金、光、闇は、学んでないんですが・・」
「・・・もう、よかろう、大賢者にでもなるつもりか? 基本が学びたければ猫又達にでも頼むが良い。ダイチに【
・・・・初めからそっちで良かったのに。 俺が悪いのか?
途中で頭に響いた声は、世界の声というらしい。【
そんなこんなでその後もナナミや猫又達と訓練しながら一か月がたった頃、バルサが長老達を連れて戻ってきた。
早速、大岩まで案内すると、長老が涙を流しながら、
「ここは、あの伝説の鍛冶師ボルディアンの住居に違いあるまい! なんと、このような場所におったとは・・・」
「おお、あのボルディアンか!」
「あの、伝説の鍛冶師!」
「そうじゃ、あの聖魔の大剣、ガルドーを
ナナミと目が合う。・・・・俺達は何も知らない、
そんな都合のいい言い伝えがあったなんて、知らなかった。これも神様(自称)のお導きか?
ひとしきり感動した後、長老達は是非ここに移り住みたいと言い出した。一応、部落に戻り皆の意見を聞くが、ボルディアンの住居跡となれば反対するものはいないだろうと、一緒についてきた3人も大きく頷いている。
よっしゃ!ドワーフゲットだぜ。
かなう限りの謝礼もするつもりだと言うが、それはまあ、どうでもいい。ここに住んでくれるとなればこちらがお礼を言いたいぐらいだからな。
あとは、ギルドへの連絡なんだか、ドワーフの長老に移住出来る場所を探すよう頼まれてた時に、この場所を見つけたことにすればどうかな? と提案したら全員賛成してくれた。
よし、話はまとまった。
後は動き出すだけだ。
嘘をつくのは、心苦しくもあるが、嘘も方便。
ミハルや猫又達、巻き込んでしまったタイガーヴァイスのメンバー達、ドワーフの長老達、皆のためにやり通すしかない。
俺はその夜、神に祈った。誰も傷つくことが無いようにと。・・・もちろんミハルではない。
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