黄昏色の救済者《リーパー》

ひゐ(宵々屋)

01:祝福と呪い

 世界を生み出し、人を作り、そしてその生活をも支え。

 けれども疲れてしまって。

 ついに女神は、深く長い眠りにつくことにしました。

 しかし人々は、眠らないで欲しいと女神に泣きつきました。

 女神がいなくなってしまったのなら、誰が人々の願いを叶えてくれるのでしょうか。

 人々のいまの素晴らしい生活は、女神があらゆる願いを叶えてくれるからこそ、成り立っていたのです。

 仕方なく、女神は眠りにつく前に、夜空に星を飾り付けました。

 星は、人々の願いを聞き入れ、叶えるもの。

 さらに女神は、泣きついてきた人々へ、星が輝きを失った際に再び輝かせることのできる力を与えました。

 まさに女神の祝福。

 ……けれどもそれは、本当に祝福だったのでしょうか。

 もしかすると、いつまで経っても縋りついて都合よく利用しようとしてくる人々へ、呪いだったのかもしれません。

 光があれば、影もある。

 誰かが何かを得れば、誰かが何かを失います。

 誰かの幸せのために、誰かが不幸を呑まなくてはいけません。

 そして願いと欲望の違いは、一体何であるのでしょうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る