そして想いは交差する
タマゴあたま
第1話 優夏の想い
最近、
香織は私の親友で小学校一年生からの付き合い。いわゆる幼馴染ってやつだ。高校一年生だから九年も友達でいることになる。人生の半分以上も友達であり続けるってすごくない? その親友の香織がそわそわしてるかと思えば、ぼーっとしていることもある。
「香織、ここんとこ何か変だよ。熱でもあるんじゃないの?」
「え? 変かなぁ? いつも通りだと思うけど。熱もないし」
そうは言ってるけど、ちょっぴり顔が赤い気がする。
「本当に?」
私は香織のおでこに手を当てる。香織のおでこってすべすべしてるなぁ。
――じゃなくて。
「うん。熱はないみたいね」
「だから大丈夫だってば」
「でも、家庭科の教科書じゃなくてお菓子のレシピ本を持ってきたことあったよね」
「だって似てたんだもん。前の日に次はどんなお菓子作ろうかなーって考えてたら誰だって間違えるよ。それにお菓子のレシピ本もひとつの家庭科の教科書って言えるんじゃないかな」
胸の前で手をわちゃわちゃさせながら必死に言い訳をする香織。かわいい。
「香織は昔からお菓子を食べるのも作るのも好きだもんねー。私は食べるほう専門だけど」
「
「だめだめ! 中学生の時、一緒にバレンタインのチョコケーキを作ろうとして消し炭にしちゃったの覚えてるでしょ?」
今度は私が手をわちゃわちゃさせる。
「あの時はびっくりしたねー。オーブンから煙が出るって本当にあるんだって思ったもん」
「だから私は食べるほう専門なの。香織ってさ、私よりもお菓子を食べてるはずだよね? お菓子作りをしてるんだから」
「でも作ったお菓子は優夏にもあげてるでしょ」
「それは完成品でしょ。試作したのも食べてるんじゃないの?」
「そういえばそうだね。それならわたしのほうが多く食べてるかも」
「うんうん。そうだよね。それなのに、これはどういうことだー!」
私は香織のお腹をガシッとつかむ。
「ひゃあ! な、何!?」
あ、今の声かわいい。香織のお腹は服の上から見ても細いことがわかるけど、実際に触るとさらに細い。
「甘いものめちゃくちゃ食べてるのに全然太らないよね。それどころか! なんでおっぱいはこんなに大きいのさ!」
お腹をつかんでいた手をそのまま上へスライドさせる。両手では包めないくらい大きい。本当に大きい。
「や、やめてよ。最近少し太ってきてるんだよ。それに胸が大きくても目線が気になるし、肩も凝るんだよ」
「おっぱいで肩が凝るって都市伝説じゃないんだ」
「優夏だってお腹引き締まってていいと思うよ」
「筋トレしてるからねー。こっちはあんまり成長しないけど」
私は自分の胸に手を当てる。香織ほどじゃないけど、無くはないはず……。
「まあ、この話はこれくらいにするとして。香織さ、お菓子作る回数増えたよね? 誰かにあげるとか? もしかして好きな人でもできた?」
「そ、そんなんじゃないよ。新しいお菓子に挑戦したから優夏にも食べて欲しかっただけ」
「ほんとにそれだけ? それにしては味の感想とか細かく聞いてきたじゃん。いつもはそんなことしないのに。やっぱり好きな人とかじゃないの?」
「だから違うってば。しつこいよ、もう」
香織がほっぺを膨らませる。この娘何しても可愛いな。
「ごめんごめん。でもいつもありがとね」
「うん。また作ってくるからね」
「楽しみにしてるよー」
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