『小さなお話し』 その264………脱出作戦 

やましん(テンパー)

『脱出作戦』

 『これは、すべて、フィクションです。大ウソです。ただし、手術だけは、うそというわけではありません。』




 明日は、病院でプチ手術です。


 しかし!


 おうちの回りは、進化して、知性を備えた、しかも、大気中で長く生きていられるようになった、悪性のウィルスさんが、玄関も裏口も固めております。


 彼ら(?)は、まるで黒服のエージェントのように振る舞っているのです。


 きちんと、意図的に計画的に、動いているようなのです。


 彼らとて、無限に存在しているわけでもないでしょう。


 しかし、いま、その総勢は、もはや人類すべてを感染させられるくらいになってきていました。


 そのうえで、まだ感染していない地域の特定の場所に、毎日狙いを定め、新規に人間に感染をさせようとするのです。


 偶然ではなく、彼らは、そのように、意識的に、行動しているのです。


 ぼくに、これが分かったのは、ごき中佐の発明品のおかげであります。


 さっぱり、売れなかったらしくて、一個、ただで、もらったのです。


 やましんは、感染すると、そく、アウトになる可能性が高く、かなり慎重にやる必要があるのですから。


 しかし、まさか、相手が、このように進化しているとは❗



 今夜は、年老いた『流星5号』の周囲にも張り込んでいます。


 おとなりも、どうやら、狙っているようです。


 そこには、こどもさんもいる。


 これは、まずい。


 家庭用の消毒剤の噴霧くらいだと、一旦逃げておいて、再攻撃してくるのだあ!


 じつに、始末が悪いです。


 ただ、リーダーが、必ずいるらしいのです。


 ぼくは、そう見ました。


 攻撃が、非常に統率が取れているからです。

 

 しかし、誰がリーダーかなんて、区別がつかないのです。


 いくらこの特殊メガネでも、彼らの、ある程度のまとまりを感知することが精一杯です。


 『しっかし、困ったぞ、ドアの取っ手にも張り付いたな。よく分かってるなあ。スパイみたいだ。うっかり、外にも出られない。まあ、それでも、そう言う場所は、殺菌して拭き取れば、効果はある。あまり、人間をバカに仕切ってはだめよ。ふん。』


 というわけですが、お外に出ると、うわ~~~~っと。たかってくるようなのです。


 小さな隙間から、お家の中にも、少しづつですが、侵入してきています。


 ただし、お家の内部は、まだ、こっちが勝っております。


 きょうは、奥様には、来るなあ! と伝えました。


 ただし、『かぜ、ひいたみたいだあ。だから。』


 と、言っております。


 

 深夜二時すぎ。丑三つ時。


 遠くのお寺で、鐘がなる。


 やましんは、このあたりは、まだ、起きていることが多いのです。



 すると、ねこママの、カフェ(スナック)の出入り口から、怪しい影が大量に現れ出ました。


 『おおおおお。あれは、ゴキ軍団。なんか背中に背負ってるぞ。あ、ママもいる。ネズミ軍団も出てきた。おあー。なんか、薬剤をひと吹きしては帰っている。もの凄い数だ。あんなに、この地下にはいたのかあ。なんかあ、ショック。』


 電線の上からも、やってる。


 ああああ、ウイルスさんが逃げてるぞ。


 やたああ!


 こりゃあ、すほい。


 あの薬、何だろう?』



 てなわけで、やましんは、昼前から、無事に病院に出かけました。



 しかし、ウイルスさんは、滅亡した訳ではないだろう。


 実際、この、熾烈な戦いは、遥かな未来にまで、続くのであった。



 ************   ************



 ごき大将


 『あの薬、効いたか?ごき。』


  

 ごき中佐


 『効きましたよ。ばっちり。ごきな。あんなに効果があるとは、驚きでごき。』



 ごき大将


 『いやあ。効くはずがないんだがな。単なる、塩水、だからなあ。』



 ごき中佐


 『げ。じゃあ、なんで。』



 ごき大将


 『やつら、薬じゃなくて、我々の数にびっくりしたんだろ。なまじっか、知能なんか付けると、そうなるごき。ごききききききききき。』



 ごき中佐


 『なまごみだあ~~~~~。大将、おそるべし。ごき。』




  ************   ************











 





 






 

 


 


 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『小さなお話し』 その264………脱出作戦  やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る