2章 14 会議室で話し合い

1時間目の会議室―


今ここには校長マチルダによって集められた、ダフネ、アデル、フランシス、ステラにマイク・そして3人の女生徒・・・マリアン、ダイアナ、ステファニーが集められている。


校長は黒板を背にした状態で長テーブルの前に座り、窓に背を向けるように座るのはフランシス、ステラ、マイク、アデル。そしてかれらと対峙するように向かい側に座るのはダフネとマリアン、ダイアナ、ステファニーである。



「つまり・・・アデルさんのお財布を盗んだ犯人はヒルダさんではなく、ダフネさん。貴女だったという事ですね?」


校長マチルダは頭を押さえながらダフネを見た。


「・・・はい。校長先生・・・私がやりました・・・。」


「やっぱり・・貴女が犯人だったのねっ?!」


アデルは椅子をガタンとさせて立ち上がるとダフネを指さした。


「ご、ごめんなさい・・・。」


ダフネは体をガタガタ震わせている。


「落ち着きなさい、アデルさん。」


校長にとがめられ、アデルは面白くなさそうに席に座った。


「それで・・・フランシスさん。彼女たちが・・ダフネさんを脅していたというのは本当ですか?」


校長は今度はフランシスに尋ねた。


「ええ。間違いありません。証人だっています。ステラが一緒に話を聞いていましたから。」


そしてフランシスはステラを見ると、黙ってステラは頷いた。


「それでは・・説明なさい?貴女達。」


校長はマリアン、ダイアナ、ステファニーを順番に見るが、誰も口を割ろうとしない。


「何故誰も話そうとしないのですか?」


若干語尾を強めるが、なかなか3人は口を開かない。でもそれは無理も無い話であろう。彼女たちは全員貴族だ。貴族でありながら恐喝を働いていたのである。このことが親の耳に入れば、ただでは済まない。

すると業を煮やしたのか、ダフネが涙を浮かべて叫んだ。


「ちょっと!ひどいじゃ無いっ!ダイアナッ!貴女が率先して私を恐喝してきたでしょう?すでにあなたには金貨2枚も取られているのよっ!」


「まあ!2枚もですってっ!ダイアナさんっ!本当なのですかっ?!」


ダイアナと呼ばれた黒髪の少女は開き直るように言った。


「あら?私だけ責めるのはおかしいわ。ならマリアンやステファニーはどうなのよ?この2人だって貴女を脅迫したでしょう?」


「ダフネッ!」


「な、何よ・・・もともと言い出したのはダイアナででしょうっ?!」


そして彼女たちはとうとう罪の擦り付け合いを始めた。


「およしなさいっ!3人ともっ!」


校長の声にようやく3人は口論をやめた。


「校長先生、とにかく誤解は解けたのですから・・・ヒルダさんの謹慎処分を解いてください。」


今迄口を閉ざしていたマイクがここで初めて発言した。それを聞いたフランシスは思った。


(あ!マイクの奴め・・俺が言おうとしていた言葉を先に言うなんて・・!まさか・・やっぱりマイクはヒルダの事が好きだったのか?)


「ええ、そうですね・・・。ヒルダさんは無実だったのですから・・・。それでは早速明日からヒルダさんには登校してもらいましょう。そして代わりに貴女達に5日間の謹慎処分を命じます。本日ご両親にもお手紙を書いて郵送しますよ?」


「「「「・・・。」」」」


全員寮生のダフネ、マリアン、ダイアナ、ステファニーは全員無言でうつむいてしまった。


「さて、それではヒルダさんへの連絡ですが・・・。」


校長が言いかけると、ステラが素早く手を挙げた。


「校長先生、私ヒルダさんと友達なんです。毎日放課後ヒルダさんに会いに行ってるんです。なのでその伝言を伝える役割、私にやらせてください!」


「え?!ステラもヒルダの所へ行っていたのかっ?!」


フランシスは思わず口が滑ってしまった。


「え・・?フランシス・・・・お前、ヒルダの家へ通っていたのか・・?」


隣に座るマイクが驚いた顔でフランシスを見た。


「あ・・・そ、それは・・・。」


フランシスはこの後、どういう経路でヒルダの元へ行くことになったのか、説明を校長から求められる事になるのだった—。


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