2章 13 ダフネの告白

「ラ、ランドルフッ?!」


栗毛色の少女がフランシスの名を口にした。


「おい、お前達・・・ダフネと話をさせろ。」


フランシスは怒りを抑えて踊り場にいる少女たちを見上げた。すると少女たちはフランシスの迫力に押されたのか、取り囲んでいたダフネから離れた。ダフネは力なく前に進み出てきた。その顔は青ざめていた。


「おい、ダフネ。お前だったのか・・・?お前がアデルの財布を盗んでヒルダに押し付けたのか?」


「・・・・。」


ダフネは青ざめた顔のまま俯いている。


「おい、お前達・・・降りて来い。そこじゃ話が遠い。」


すると栗毛色の少女が言った。


「何よ、ランドルフの分際で私達に口出ししないでくれる?」


ランドルフの分際・・・どういう意味かフランシスには分からなかったが、彼女達が自分を見下している事は分かった。


「何だって・・?」


すると別の少女が口を開く。


「おお、嫌だ。これだから成金上りの平民は・・・これでは私達貴族の品位が下がってしまうわ。」


「何ですってっ!!よくもそんな台詞をっ!」


今度はステラが現れた。


「あら〜誰かと思ったらステラじゃないの・・・。流石平民は盗み聞きするのが好きね。幾ら金持ちでも常識を知らないのね。」


更にもう1人の少女が言う。


「何よっ!陰でコソコソいじめをする方が余程陰湿で非常識よっ!しかもお金を要求するなんて・・・貴女達は貴族でもお金に困っている様ね?」


ステラの言葉はその場にいた3人の少女たちを激怒させた。


「な、何ですって・・・・っ!」


栗毛色の髪の少女が怒りで身体を震わせたとき・・・。


「君達、そこまでにしておこうよ、本題からどんどん外れていってるよ?」


マイクが現れた。


「「「マイクッ!!!」」」


途端に3人の女生徒達の頬が赤く染まる。マイクは学年のアイドル並みに人気があるので、彼女達の反応は当然だった。


「ねえ。君達・・・そこから降りて話をしないかい?そろそろ授業も始まるし・・・。」


マイクの言葉に彼女達は視線を合わせて頷くと、フランシスたちの元へ降りて来た。


「ありがとう、君達。それじゃ僕と一緒に向こうで話をしようよ。」


そしてマイクは3人の女生徒達に声を掛けると、ポンとフランシスの肩を叩いた。


「ダフネとちゃんと・・・話つけろよ?」


フランシスは黙って頷くと、マイクはフッと笑って女生徒達とその場を去って行った。残されたのはフランシスとステラ、そしてまだ踊り場に立っているダフネのみだった。


「おい、ダフネ・・・降りて来いよ。」


「・・・。」


ダフネは俯くと階段を降りて来るとフランシスとステラの前で止まった。


「ダフネ・・・その様子だと・・・やはりお前が犯人なんだな?」


その言葉にダフネは黙って頷いた。


「何故だっ!何故そんな真似をした?!どうしてヒルダを陥れようとしたんだっ!」


「き・・・気に入らなかった・・・から・・・。ヒルダと・・・アデルが・・・。」


ようやくダフネは口を開いた。


「気に入らなかった?どうしてよ?」


「ヒルダは・・・何処の派閥にも・・属さなくて、足だってあんななのに・・気丈に振舞って・・私達の嫌がらせにも動じない所が生意気だったし、アデルは・・・貴族でも無いのに・・大金持ちで・・鼻もちならない所が・・・気に入らなかったのよ・・・。だから・・・。」


「何だって?そんなどうでもいい理由でお前はヒルダを陥れたのか?」


「だって・・こんなに大事になるとは思わなかったのよ・・・!まさか謹慎処分になるなんて!私はただ・・・ほんの少しだけ困らせてやろうと思っただけなのに・・・そしたらあの人達に私が犯人だろうって見抜かれて・・・今迄脅迫されて・・!」


そしてダフネは泣きだした―。

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