徒然なるままに

白鳥かおる

第1話 缶コーンポタージュスープとの戦い





 わたしはコーンポタージュをよく飲む。

 ツブツブの入った缶コーンポタージュスープが好きだ。

 十時の休憩には必ず飲む。

 さっぱりしていて、後味もよく、至福の一時である。

 だけど……。

 飲み終えた後に残るコーンの粒に、2/3歩くらい飲み終えた頃から意識して、缶を振りながら飲むのだが、どうしても十粒前後缶の底に残ってしまう。

 休憩時間は十分しかない。

 一分で飲み干した後の残り九分は、ツブツブコーンとの戦いとなるのだ。

 口を上に向けて、逆さにした缶を口に持って行き、底を叩いたり、横に振ったりするのだが、それでも五粒前後残ってしまう。

「そんなにムキにならなくてもいいでしょ?」

 と同僚は言うが、なんとなく意地になってしまう。

 休憩時間が残り一分を切った時、わたしの究極奥義が発動するのだ。

 逆さまにした缶のプルトップを左の掌にあてがうと、

 ――― シャカシャカシャカ ―――

 バーテンダーもどきのシェイキングの始まりだ。

 これで勝負あった! となるのだが、代償が付いて来る。

 左手がべちょぺちょ………。

 ウエットティッシュで左手を拭いただけで、キーボードを打たなくてはならなくなるのだ。

 職場の風物詩となりつつある、わたしと缶コーンポタージュスープとの戦いに、終止符を打ついい方法、知っていたら、誰か教えてよぉ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る