第1話 ENCOUNTER

辺りを白い壁と一つのドアに包まれた部屋に、1人の青年がポリタンクを持って水を汲んでいる。

彼は名を公主コウシュ 志雄シユウという。


〜ここから志雄の視点〜


僕は水をポリタンクに入れると蛇口を回し、水を止めた。

水が満タンに溜まったポリタンクは重いが、運べないことは無い。

そのまま部屋を出ると、廊下を歩いて行った。

この巨大コロニー「ノア」は体育館ほどの大きさの部屋が6つ、そしてさまざまな役割を持つ個室に分かれている。

僕と祖母が住んでいるのは第3居住エリアだ。

そんなことを考えていると、祖母のところに到着した。

志雄「持ってきたよ」

僕の祖母…公主コウシュ 言代イイヨはコクリと頷くと、

言代「また探索隊がやられたそうだよ」

と言った。

志雄「?」

探索隊の全滅はこれで12回目だ。

この世界は物資が慢性的に不足している。その理由は30年前に遡る。

30年前、世界各地に突然謎のエリアが出現、そこから多種多様な正体不明の怪物モンスターが現れた。奴らは不可解な力を使い、瞬く間に世界を侵食していった。危機に陥った人間は、世界各地にコロニーを作った。

しかし物資は次第に減っていき、探索隊を組むなどの対策を打つものの、奴らには敵わなかった…

もちろん僕の最初の記憶はコロニーの中だ。

この知識はあくまで聞いただけのもので、奴らは画像でしか見たことはない。

だが、それでも恐ろしい物だということはわかった。

しかし、その思考は突然のサイレンでかき消された。

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