トラックに轢かれた
ジブラルタル冬休み
トラックに轢かれた
言葉で言えば良い。
あは。
アハーッ。
そう思って、朝が来て、朝起きて、昼になり、何もせず、汗を流しただけの水分を無駄にし、昼になり、そのままカロリーがなんの有効活用にもならず蓄積されていく。
夕方。
いつも。穂束から連絡が来る。そういう時間。知ってる。
奴はいつも通り、「あのバンドのあの新曲の歌詞はダメだ」とか「あの店のチョコレートアイスは評判がいいが俺には理解できないし甘すぎる」とか「猫が可愛いとか言ってるやつより猫の方が可愛い」とか「女の子のスカートが(おっと、Twitterのダイレクトメールで匿名の環境を利用して本性を引き出そうとしたときの記憶が思い出されてしまった)とかまあそう言うことを言ってくるのだろう。
しかし連絡は来ない。いや、正確には来た。夜、電子の粘り気で。
「穂束が死んだ」
と、そう言われた。「ナゼ」聞くと、
「トラックに轢かれたそうだ」
大野も、トラックに轢かれた。俺は穂束が死んだ時より泣いた。
大野はいい奴だったし、周到な奴だった。穂束と何より違うのが、きづかいができた、というところだ。
「あのバンドの新曲、いいよね」と俺が好きなバンドの曲を褒めてくれたし、「あのチョコアイス美味しいよね」と俺が差し入れたアイスも貶さず褒めてくれた。「猫可愛いって言ってる人も可愛いよね、言動」と暈してそれとなーくなんか、meanは一緒でも穂束とは違うと言うか、、、まぁ。下ネタも言わなかった。
かれもひかれた。バイバイ。泣いた。
そして三年後俺も轢かれた。こんな音とともに。こんな音とともに菅直人とともに。(菅直人のポスターは、巻き込まれた、不運にも。これ、倒置法)
「ききぃーーーーーーーーーーーーッヮ!!!」
俺も死んだ。
結末は、生前あんなに人をバカにしてようが、超できたやつだろうが、俺みたいなニートみたいな奴みたいな奴だろうが、同じだった。
トラックに轢かれた ジブラルタル冬休み @gib_fuyu
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