It must be a very sweet, and bitter taste of love.

teardrop.

CHOCOLATE PANIC !

チョコレート。

南米原産の茶色くて素敵な奴は、今年も白い季節にやってくる。日本中で甘い成功と苦い失敗があふれかえる日だ。そもそもイベントに関わることすらできない者だっている。任意参加のイベントではあるのだが参加条件が特殊なあの日である。



「先輩……っ。好きです!わたしと付き合ってくださいっ!」

真っ赤なハートの箱が両手で突き出される。可愛らしいラッピングの中身は、彼女が一か月かけて考えに考え抜いて作り上げたトリュフチョコレート。美味しそうなものを買った方がいいのか、手作りするべきなのか、悩んだ期間は実に二か月。若干16歳の少女の3か月分の想いと熱が込められた純度百パーセントの好意の塊である。


「あー、その」

先輩の表情は冴えない。その反応に失敗を悟った少女は、じんわりと零れそうになる涙を気丈にもこらえつつも目をうるませた。まつげがうっすらと湿り気を帯び、頬が赤くなっていく。全身が恥ずかしさで燃えるように熱くなっていたが、背筋だけは凍り付くように冷え切っていった。


「そっ…そうですよねっ!すみません私一人で盛り上がっちゃって。忘れてください!」

想いの塊を咄嗟に胸元に引っ込めて、顔をそむけた勢いで涙がひとしずく零れていった。そのまま走り去ろうとしたが、先輩は手首を捕まえて逃がさない。逃がしてくれない。


「そうじゃなくて、チョコレート食えないんだ俺」

「そんな、わざわざ引き留めて追い打ちですかっ!酷いです!」

もう涙腺は決壊していた。ボロボロと大粒の涙を流しながら、それでもしゃくりあげる声だけは出すまいとぐっと下唇をかんだ。


「いや、そうじゃなくて…。俺、乳製品アレルギーなんだ。だから申し訳ないんだけど、医者に許可されてるもの以外食べられないんだよ」








あとがき

あの、マジでアレルギーとか10人に1人くらいはあるらしいので注意が必要です。食品アレルギーに限ればもっと少ないそうですが、それでも。ケーキにしたら小麦、卵に気を付けないといけないし、手の込んだものにすればするほど危険度は増します。渡す相手が思わぬマイナーアレルギーを持ってるかもしれないです。隠し味で好きな人を落とすって・・・アサシンかな。

女の子の愛で死ぬのは人によっちゃ本望かもしれませんが、アレルギーはマジで苦しいので殺意があるなら毒を盛ってほしい。殺意がないなら渡す相手のアレルギー調査を強くお勧めしたい。まあアレルギー持ちは手作りは受け取らないと思いますが・・・。

食べてもらえないのは悲しいし、食べてあげられないのも悲しい。


所でオチはこれで良いんだろうか。思い付き見切り発車短編だからね、仕方ないね。

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It must be a very sweet, and bitter taste of love. teardrop. @tearseyes13

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