十八冊目
九尾苑さんが、放り投げた某人をゲル状に溶かすソファーを取ってきて座って言う。
「じゃあ説明も終わったところで自己紹介タイムだ。
「面白い自己紹介して僕を楽しませてね」
相変わらず無茶振りを。
九尾苑さんは定期的に絶対不要な無茶振りをする。
基本は無視だ。
僕が普通の自己紹介をしようとすると、二人揃って止められる。
「お前のことはもう詳しいぐらいに知ってんだ、必要ねえよ。
「それよりも、お前は俺の自己紹介を聞くべきだ。
「俺は
「こっちは猫宮月下、こいつとお前は前にも会ってる筈だ」
一人で二人分の自己紹介を済ませた荒木寺さんは不思議な事を言った。
僕が猫宮さんに以前会っているだなんて。
すると、猫宮さんは申し訳なさそうに言う。
「ごめんなさい、こっちの姿じゃわかりにくいわよね、私の家系って化け猫の血が混じっているの。
「君がこちらに来たばかりのときなんだけど、覚えてるかしら」
来たばかりの頃、猫、僕はこの店に来てから猫なんて一度しか見ていない。
猫、猫、猫、猫、猫、何度も頭の中を探ったが間違いない。
「まさか、あのときの、鏡のときの」
「てへ、ごめんなさいね。
「九尾苑さんが記憶の戻り方を教えないし中々鏡を見ないからムズムズしちゃって」
てへって言った。
実際にてへって言う人いるんだ。
「あのとき、既に記憶の戻り方は分かってたんですか」
「ええ、あの鏡はいつかは覚えてないけど、それはそれはずーっと昔から使われてた鏡なのよ。
「それを誰も詳しい検証をせずに使い続けてる訳ないじゃない」
言われてみれば納得だ。
しかし、現在疑われたこに頬をふくらませていたり、てへ、などと言ってみたり。
猫宮さんの印象が第一印象と大きくずれる。
キャラ作りしていたのだろうか。
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