ぎざ辞苑

さくいん

【あ行】

大人（2）

　この間、20歳を少し過ぎた後輩が、『早く大人にならないと……！』と切実な面持ちで気持ちを噛み締めていたので、彼女を元気づけてあげるためにもそもそも『大人』とは何なのだろうと、今月ずっと考えていました。

　法律的には『20歳になったら』、『成人』になりますね。でも、それは法律的に『子供』ではない、と言うだけであって、20歳になった瞬間に身も心も『成熟した人間』になれるわけもありませんよね。

　なんなら僕なんか、自分が大人になったなぁ。なんて思ったことはありません。見た目も童顔なので、お酒を買うとよく注意されますし。

　加齢によって体力が落ちることもあるでしょうが、それはあくまでも『加齢』であって、『成熟した人間』とは違う意味に感じます。

　考えが深いなぁ。様々な経験から学んだんだなぁ。自分をしっかりと持っているなぁ。という人を僕は『大人』だなぁと感じます。

　さっきから感じます感じますと言っていますが、実はそう、僕の中では答えが出ているのです。

　本来『大人』なんてものは、絶対的な定義などありません。この定義から逸れたり外れたりした人は『大人』ではない訳でもありませんし、この定義に即した人が全員『大人』ということもないでしょう。

　あくまで大人の定義は人それぞれなんだと思います。

　で、僕の定義はこれです。

　ぎざ辞苑

【大人（おとな）】

　自分なりに考えられる人。信念を持っている人。しっかりしている人。（この場合しっかりしていないことに信念を持っていればそれは大人であるとする。）

　相手の気持ちを考えて行動できる人。

　自分の気持ちをコントロールできる人。

　自分なりの楽しみ方を知っている人。

　…………。

　相対的なものだなと思いました。

　僕がのほほんと生きていたとしても、たとえば僕に子供が出来たとしたら、僕は『ぎざ』から『ぎざママ』になります。『ぎざパパ』になります。

『子供』ができたらその人は『親』になるように、僕自身の考え方や信念は何も変わってなくとも、僕よりも『大人じゃない人』から見たら僕は『大人』に変化するのです。

　保育園の中に飛び込んだら僕は『大人』になりますし、老人ホームの中に飛び込んだら僕はペーペーの『子供』みたいなものです。

　だからあの子にも言ってあげたい。

『大人』なんてものは、その時と場所によって変わる不確かで曖昧なものだから、それよりも自分の中に『これ！』という考え方や、信念を持つ方がずっと『大人』らしいよ、と。

　僕が保育園の中に飛び込んだとしても、老人ホームの中に飛び込んだとしても、変わらない『信念』を持ち続けられたとしたら、彼らの中に埋もれたとしても混ざらない『自分』を持ち続けられたとしたら、それはもう誰がなんと言おうと、『大人』だと思うのです。

　ま、子供っぽい大人なんて僕を含めて5万と居ますから、あまり気にしすぎないように。

　ただ、『大人』＝『成人』ではないですよね。

　そもそも『成人』になったらお酒が飲めるのはどういう理屈なんでしょう。子供の飲酒ができないのは、成長に影響を及ぼすからとされていますから……、大人は既に成長しきっていて、影響を及ぼすとしてもわずかだということ？

　でもその成長はあくまでも身体的な成長。

　精神的な成長は、何歳になったってできます。

　自分以外の、これから出会う、面と向かう人、ネット上で知り合う様々な人から教えてもらう自分以外の考え方や、アドバイス、教え、意見、信念、こだわり、それらを自分の中に回収して、それをどのように使うか、もしくは使わないで捨ててしまうかして、『自分』を構築するか。

　そんな『自分の成長』を楽しめる『大人』になっていってほしいなと思います。

　僕も、僕自身の成長を楽しみにしていこうと思いました。後輩に偉そうなことを言って、自分でできないのは、『大人』としてかっこ悪いですもんね。

　そんなこんなで、第二項目、『大人』でした。

　2つ目から早速広辞苑もランダム単語ガチャも使わない始末。そんなこともあります。

　これは、僕に寄り添った、僕自身の成長を記す辞典だからです。（いい事言ったなぁ。）