その2:「士気」

 さて、「指揮」の説明の最後に、「個人の能力のみで判断し人員配置すること」とまとめたばかりで恐縮だが、唯一の例外をここで提起したい。


すなわち、配置の結果、「士気が落ちることにより全体的にマイナスになる」と言う場合である。


 私が「士気」、言い換えれば「やる気」を最も重要と言ったのはここにある。なるほど、ゲームであれば各数値、パラメータ順に配置していけば、上手くいきそうである。


 だが、ここで扱っているのは従順なデータではなく、人間だ。


「あの人とは馬が合わない」、「仕事は出来るかもしれないが、態度が気に食わない」、「あの人とは以前ちょっといさかいがあって・・」といった相性、しがらみ的問題もあるだろう。


あるいは得意と思われる仕事であっても「なんだかずっと同じで飽きた、たまには別のことをしたい」と言うこともあるだろう。


 「何を甘いことを!」と言う方もいるかもしれない。なるほど、確かに人員皆が強固な理念を共有している組織であれば、相性だのなんだのとは問題にならないかもしれない。


そういった会社、組織も多いと思うので、それはあえて否定しない。だが、その場合は全体的な「やる気」が非常に大きくプラスであるため、多少のマイナス要因は相殺されているのではと私は考える。


 「人間、やる気さえあればたいていのことはできる!!」と言う「やる気論」は、一個人ならその通りだろうが、それを組織論に当てはめるというのは、はっきり言って納得できない。


むしろ「やる気を出させてくれる組織論」であるべきだと考える。なので、私は「士気」こそ組織で一番重要と考える。


 だが、この士気、「やる気を出させてくれる組織」とは具体的にどういった組織なのであろう?・・正直、定義しにくい内容である。・・なので、その足がかりとして先に「指揮」の説明をさせてもらった。


 すなわち「指揮的な人員配置以上に成果が期待できる人員配置」を組むことで、「士気」は向上すると考える。


 例えば、「パソコンの販売1位と2位」がいたとする。当然「的確な配置」ならばこの2人を「パソコンの接客」に配置するであろう。


この2人が互いに不干渉なら問題ない、あるいは協力し合う仲なら問題ないが、逆に「互いを蹴落とす」場合にはそれ以外の組み合わせが、組織全体としてはプラスになるかもしれない。


 「パソコンの接客」のベテランであっても、どうもやる気が見られず、他のもやってみたさそうと言った場合には、例えば別の商品、プリンタとかを日数を分けて接客に当てるのもいいだろう。


それが刺激となって、かえって「パソコンの接客」にやる気が出るかもしれない。


 個人の「やる気」ばかり尊重していては、組織は機能しづらい。なので先に「指揮」を説明させていただいた。


だが、「士気」、やる気、モチベーションでもいい、の高い組織こそ結果を残せると私は考える。そのバランスが肝心である。

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