狂乱ノセンジョウヘヨウコソ

Yuno

第1話 ハジメノ歪み


僕が生まれた時、そこには何も無かった。

産声をあげども、喜ぶ人は居らず。ただただ助けを求めるような泣き声をあげる僕と雨の音が響くだけであった。


どれくらいの時が経ったのだろうか…


もうすっかり体は冷たくなり幼い自分は死にゆく運命であると悟った。そんな時ふと視線を上げると、重なる視線があった。

黒いボロボロのローブを纏いその全貌は明らかにはなっていない。しかし、僕はその得体のしれない人物に助けを求めた。否、求めてしまった。


抱かれる腕の感触から男性であることが分かった。初めての人の温もりを感じる暇もなく、僕は淡い微睡みの中に堕ちていった。


彼のもうひとつの腕の中に銀髪の小さな女の子が居ることを微かに覚えながら…




数年後・・・



黒いボロボロのローブを着た男は、僕達が物事の判別ができるようになる頃に、ふっと姿を消していた。それからというもの、僕達は毎日のように、彼が残してくれた大剣とレイピアを用いて鍛錬に励んでいた。



心地よい晴れ渡る空の下で、僕は

反吐が出そうなクソな空の下で私は


より一層この世界で生きることを強要した彼を殺すその時まで、どんな障害も破壊し、蹂躙し、飽くことのないこの世界を謳歌することを誓います。




その日、僕と私の運命は交わり、終わることのない狂った狂想曲を奏で始めたのでした。






「待っててね、師匠」

「待っててね、お義父さん」


「「私と僕が必ずあなたを殺します」」

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