エピソードEIGHT

「今日は転校生が来てます。それじゃあ入ってください」



今、私はパリのとある芸能学校に来ている。



「・・・あ、あら?どうしたのかしら?入っていいですよ?」


今私は、廊下で緊張と戦っている。緊張で足が棒になり、全く動けない。


「え、えっとぉ・・・来てもらえるかな(汗」


私は先生に手を引かれて教室に入り、教卓に立たされた。


「日本から来てくれた、イトナさんです。自己紹介してね?」


「・・・」


手に汗を握る緊張とはまさにこの事だ。


「あ、あの、自己紹介を(汗」



「・・・そいつ、フランス語出来ねえんじゃねえのw」


クラスの男子がそう言った。フランス語で言っているが、私はきちんとわかっている。私は深呼吸をした。


「・・・フー・・・。Bonjour。日本から来ました、イトナです。パリには、声優の収録のために来ましたので、短い間ですが、よろしくお願いします」


クラスが静まり返った。



「bravo!!イトナさん、フランス語お上手ね」


先生は勢いよく拍手をした。


「一応、検定も持っているので・・・」


さっきの男子生徒を見ると、すごく不服そうな顔をしていた。


「じゃあ、あそこの席に座ってね」


指を刺された場所を見る。隣がさっきの不服そうな男子だった。嫌だ嫌だと思いながら、席に座る。


「おい、お前。英語は喋れるか?wコマンタレブー?w」


ん?それ英語ではないと思う。私はこの時、無性に言い返したくなった。


「それ英語じゃありませんよ。Talk to me after you can speak English.よろしいですか?」


「な!・・・フンっ!」


男子生徒は腕を組んでそっぽ向いた。



「ふふ。面白い子が来たね」


そう言って隣の人は笑う。誰だかはわからなかったが、その笑顔の綺麗さに一瞬止まってしまった。




「あぁ、本当に・・・おもしれえバケモノが来たぜ・・・」



そう聞こえたのは気のせいなのだろうか・・・。

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