鏡台

荼八

滲み

自分のことについて確信する瞬間でしか、私は私では居られなくなってしまった。


私は赤錆でギリギリと音を立てる手錠で、自分に鍵をかけて目の届かない所まで思いっきり投げ捨てた。


鏡台の前に座って自分とは何者なのかを問い続けている。

真っ白な部屋でただ問い続けている。誰も満足な答えを出してはくれないものだから、そうするしかなかったのだ。


歩む先、答えは一つ見つけられたのだがそこに待つのは僕らしさなんかでは無かった。誰だろういったい僕は誰なんだろう。ただ一つの出来事がここまでに必然性を匂わせることは今までなかった。


私は僕は結局の処誰なのだろうか。


眠ってしまいたかった。

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鏡台 荼八 @toya_jugo

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