灰色の国
きょんきょん
プロローグ
此処は、記憶にも記録にも残っていない最果ての地。かつては栄華を誇っていたことが街の作りから伺える。それも今では街全体が廃墟と化し、暴力のように吹きすさぶ寒風は、全ての命をも凍らせる。
この地を訪れるのは、大罪を犯した者か、流浪の旅を続ける者。いずれにしてもまともな理由で立ち寄る事が無い街だ。
一人の男が辿り着く。異国の血が流れているのか、虚ろな眼をした住人達の視線を集めた。
容貌は漆黒、多くの血を吸ってきたであろう業物の刀、なにより切り殺さんばかりのオーラには、歴戦の強者達ですら近づくのが躊躇われた。
「おいあんちゃん。ここの街の人間じゃねぇな。何しに来たんだよ」
飄々とした男が話しかけてくる。
「外に渡りたい」
「なんだ外の情報が知りたいってか?まあ話してやんのは
「情報を寄越すか寄越さないか、ハッキリしろ」
「わ、悪かった!冗談だからそいつをしまってくれ!ちょっとからかっただけじゃねえか!」
「冗談に付き合ってる暇はない」
「ったくよ。クソ真面目な奴だな。しょうがねえから特別に教えてやるよ。あれは――」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます