第199話 パワハラとボイコット
女神、ちょっと相談があるのですが。
「はい」
つ大吟醸、天塩、白米、清水。
「はいはい?」
わたくし、学校のインストラクターにパワハラを受けて、もう彼の講義はボイコットしようと思ってたんです。
「ははあ。あんたが言うのって、パワハラじゃなくてセクハラでしょ?」
プライベートな人間関係を邪魔するような発言をされたんですよ。
「あれ? そんな簡単に言っていいの?」
女神ですから、正確にお伝えしますね。
「はい」
あれは授業の前でした。
「はいはい」
わたくしがクラスメイトに、音楽雑誌を差し入れしているのを見たインストラクターが「ものをあげるのは負担」「人との距離が近い」「誤解されるから」「損」と言ったんです。
「あのなあ」
どういう意図があるのかわからないんです。
「授業と関係ないじゃない」
ですよね。
「ボイコットなんかしたら後悔するわよ」
でも、PC習うのに、すごく顔を近づけられるんです。
「でも、でも。先生は教えるのが正解」
それに、わたくしが弱点克服のためにしている努力をことごとく否定される。
「なんの努力」
時間の観念がないので、克服すべく砂時計を使っていました。
「砂時計~?」
ぼーっとしたり、一つの作業にかける時間を、砂が落ちきるまでと決めたんです。
「そしたら?」
ごちゃごちゃ考えなくていんだよ! と。
「それはそういう風に言わないと、誰かが商品化するからじゃないの?」
商品化? といいますと?
「ようするに、小さい子みたいに扱われたの?」
そうです。
「しっかり者なのに」
そもそも最初の授業の時から、教室の真ん中、クラスメイトの前で大声で「ネットでなにしてるの?」と聞かれ、それは個の侵害であると思いました。
「なんて答えたの」
Twitterで画像と動画を見つけて、ブックマークしてます、動物の、と言いました。
「なる……ナルシストねその先生は」
なぜです?
「自分が社会で重要な役割を果たしてる、そんな気分を味わって生きてきたのね。おまえもよっぽど素直な子なのねえ。救いようがないわ」
ですから、お友達が言うには、「それは授業に関係あるんですか」と流して、適当なことを言っておくんだそうです。
「ん、ん」
好きなものや嫌いなものをしゃべる必要はない。
「ちょっと待ってよ。それじゃコミュニケーションは」
トモダチとだけします。
「OK. 先生は必要ないわね」
授業に出て、単位だけもらいます。
「OK.」
エクセルのプロになるんだー♪ MOSもとりたいです!
「つきあってられっか」
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