『小さなお話し』 その262

やましん(テンパー)

『エネルギー狂人化』

 『これは、フィクションであります。この世界のはなしではありません。』





お客様


 『このマッチ、なかなか、火がつかないのよ。不良品でしょ。』



店長さん


 『いえ、これは、新しい法律にもとずくものです。なかなか、火が付かないことで、エネルギーの強靭化を図るというのです。』



お客様


 『火がつかないと、なんで、エネルギーの強靭化になるのよ。』



店長さん


 『消費者のかたが、エネルギーの大切さを、身近にかんじるからだそうです。また、国民の、我慢強さを、醸成するとか。』 



お客様


 『よけいな、御世話よね。うちの家庭用原子炉なんか、ばりばりの高級品だけど、ろうそくの火も、おせんこうも、もう、つかないわ。役に立たないわ。』



店長さん


 『それは、小売店の対応可能な範囲外ですからねぇ。あめばかりで、もう、2年も、太陽光が当たらないし。作物育たないですし、あちこち、海になったし。おたがい、大変なんです。マッチも、なかなか、生産ができないみたいですよ。』



お客様


 『やはり、火付棒にします。』



店長


 『あ、最新型の、火付け棒がはいってましよ。着火が早いです。』



お客様


 『あ、そ。』



 家庭用原子炉は、燃料が手に入らず、大方、停止したままである。



 石油製品は、輸入できない。


 石炭も、禁止された。


 つまり、化石燃料は、ようやく、世界的に禁止されたが、もはや、手遅れである。


 陸地は狭くなる。


 頼みの風力も、なぜか、あまり、風が吹かない。


 コロナウィルスによる疾病は、ウィルスさんと人間のいたちごっこになり、世界的な大流行が続いたままである。


 八方塞がりで、人間は、狂人化しつつあった。


 


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『小さなお話し』 その262 やましん(テンパー) @yamashin-2

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