(6)眷属と準眷属

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 名前:キラ(桂木昭)

 種族:世界樹(苗木):LV30 → 世界樹(若木):LV1

 職業:世界樹の精霊 :LV32

 爵位:侯爵(初・道北)

 所持スキル:魔力操作LV30→上級魔力操作LV20、分体生成LV45、

       意思疎通LV30、魔石生成LV30、枝根動可LV28、基本魔法LV20、

       植物生成LV5、土壌開墾LV1、各種基礎魔法(地水火風)LV**、

       ……(他)……

 眷属:賢樹人形、白銀梟、女王蜘蛛、銀狼、銀大狼(ルフ)、暴風火熊、魔蜂女王

 眷属獲得数/眷属獲得限度数:7/12

 準眷属:ゴブリン種

 因子:極寒の因子(初)

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 メッセージ後さっそくステータス画面を確認してみたが、見事に準眷属の欄が増えていた。

 ただ眷属のように個体として登録されているわけではなく、種族全体として記されているようだ。

 もし今後別のゴブリンを準眷属化することになったらどうなるのか確認してみたいところだ。

 今後はゴブリン程度の強さの魔物が領域内に出た時には敢えて放置するというのもありかも知れない。

 そもそもスライムのような弱い種は、すべてを倒さず増え過ぎないように調整していたので、確認するにはちょうどいいかも知れない。

 

 それはいいのだが、ゴブリンたちが準眷属になったことである問題が出てきた。

 その問題とは、彼らの食事をどうするのかということだ。

 領域内に発生する魔物は子眷属が倒してしまっているので、ゴブリンが食事にすることはできない。

 普通(?)の野生動物はいるのだが、ゴブリンたちが生きていくのに十分かといえば微妙なところだろう。

 準眷属が眷属のように世界樹からの魔力だけで生きていけるかは、今のところ分かっていない。

 それを確認するためにも、彼らの食料を確保しておく必要がある。

 

 ゴブリンたちが倒せそうな強さの魔物であれば、敢えて子眷属が倒さずにおくことで彼らの食料にすることはできる。

 そう考えると集落がある辺りは、子眷属の数が減らせる可能性も出てきたわけだ。

 準眷属がどの程度信用できるかはわからないが、今後も拡大していく領土のことを考えるとすべてを子眷属に任せるよりも準眷属に一部を任せてしまうということもありだろう。

 勿論恭順を示している以上は、すべてを勝手にやってねと放置するつもりはないので、今後も子眷属の巡回なり監視は必要になる。

 もし今後準眷属が増えていくと、全体で見ればかなりの数の子眷属を減らすことができるはずだ。

 その分を他の作業なりに回せば、より効率的に領域の管理をできるようになるはずだ。

 今のところゴブリンのすべてを信用するわけではないが、それくらいなら任せてしまってもいいと考えている。

 

 

 当面の間はゴブリンたちは要監視ということになったので、問題の一つは解決……というか先送りになった。

 ゴブリンたちの信用については一気に結果が得られるわけではないので、それで問題ないだろうと思う。

 しばらくの間は俺自身が顔を見せる必要はないと、眷属たちにも言われている。

 

 というわけでダークエルフの研究要員が来るまでのちょっとした時間ができたので、その間に眷属たちについて色々考えてみることにした。

 まずフリーズホーク戦直後も進化していなかったミアが、つい先日ルフと同じ銀大狼に進化している。

 フリーズホーク戦で進化していなかったのに、このタイミングでと思ったが実際にそうなっている以上は文句を言っても仕方ない。

 それにタイミングが微妙にずれたのは、子育てが落ち着くまで待っていたということもある。

 

 その三匹の子供たちだが、今ではどうにか一人で狩りができるくらいには成長している。

 親離れまではもう少しだろうが、そのあとがどうなるかは敢えて聞いていない。

 といっても今後北海道全域を領域・領土化することを考えると、子眷属として残っていくことになるとは思う。

 今はクイン、シルクの子眷属に任せている領域内の魔物の狩りを担っていくことになるはずだ。

 

 狼親子に関してはそんな感じだが、ラックとファイは全くこれまでと変わらない動きをしている。

 領域が広くなってからは全ての魔物を狩りつくすというようなこともしていないので出会いのチャンスはあるはずなのだが、この両名に関しては浮いた話は全く聞くことがない。

 ファイは戦闘、ラックは空を飛び回ることに夢中になっているようで、しばらくそうした方面での話は期待できないと考えている。

 もしかしたら俺の気付かないところで進んでいる可能性はあるのだが、他の眷属に聞いても首を振るばかりなので恐らく本当にないのだろう。

 

 そして最後に残ったアイだが、ちょっとした合間に話を聞くと意外な答えが返ってきた。

「――こんなことを聞いていいのかわからないんだけれど……」

「? ――なんでしょう?」

「アイって子供はどういう扱いになるの?」

「言ってなかった? いま頑張って作るように計画している」

「え。聞いてないけれど……そもそもアイって子供作れるの? ……本当に猥談的な話で申し訳ないんだけれど」

「問題ない。むしろこれまで聞いてこなかったことの方が不思議」

「そうかな?」

「領域が広がっているのだから部下の数を増やすことを考えることは必要」

「そうなんだけれどね」

 あくまでも領域の管理的な視点で考えていることに、微妙な差を感じるがそこには敢えて触れることはしない。

 特に性的な話題で種族の差が出るのは、ごく当然の話だと考えているのだ。

 

「まあ、いいや。話がずれちゃったけれど、それで計画ってのは?」

「ご主人さまからもらった魔石を使って私と同じような存在が作れないか検討中」

「え? それって木人みたいなこと?」

「そうです。恐らく出来るだろうという感触はある」

「あらびっくり。そうなんだ。できそうなんだ」

 今まで全く聞いてなかった話が出てきて、本気で驚いていた。

 

「ただ恐らくできたとしても戦闘で役にたてるかは微妙なところです。恐らく当分先になるかと」

「そうだろうねえ。そこは気にしていないから別に問題ないよ。むしろ準眷属のことを考えると生産そっちの手が増えたほうがいいかも」

「確かにそうかも」

「だからといってそっちに縛る必要はないけれどね」

「色々考えてみる」

「だね。どんな子たちを作るかは、アイに任せるよ。最終的には、無理しない程度に色々作ってくれればうれしいかな」


 アイのような生産よりの眷属は少ないので、むしろそちらの手が増えたほうが嬉しいのは間違いない。

 それと合わせて様々な物が作れるようになった方が、今後の領地運営を考えるとより楽になるだろう。

 今のところアイの作るものは戦闘系に偏っているのだが、それは作れるのがアイしかいないのでどうしてもそうなってしまうのだ。

 生産系の眷属が増えれば、より多くのことができるようになるのは間違いない。

 

 そんなことを考えていると、アイが少し言いづらそうな態度になっていることに気付いた。

「どうかした?」

「ええと……はい。出来ればでいいんだけれど、ご主人様の体の素材を使わせてもらいえないかと……」

「俺の体って、枝とかのこと?」

「そうです」

「何だ。そんなことだったら全く問題ないよ。アイだったら変な使い方もしないだろうし」」

「ありがとう」

「いやいや。その程度のことだったらいくらでも相談してくれていいからね」

 あからさまにホッとした表情になるアイに、敢えて気楽な調子でそう伝えるのであった。




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