(10)戦いの後で
本日(2020/12/19)投稿1話目(1/2)
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『初めて【爵位持ち】を倒しました。これにより爵位継承が行われて、領域の領土化が可能になります』
『初めて領土を得たことにより爵位が得られました。ステータスをご覧ください』
『爵位を得たことにより進化しました。ステータス画面をご覧ください』
『爵位持ちを倒したことにより因子を得ました。ステータス画面をご覧ください』
『条件を満たしたので売買機能が利用できるようになりました』
「えっ……ちょっ……!? あ、ごめん。なんでもないから」
フリーズホークを討伐できたお陰なのか、一気に流れてきたメッセージに思わず驚きの声を上げてしまって、眷属たちからの訝し気な視線が集まってしまった。
それはすぐに否定できたので事なきを得たのだが、一気に流れてきたメッセージは確認できていない。
フリーズホークを倒して興奮冷めやらぬ中、一気に処理をすると何か見落としとかが起こりそうだったので、少し時間をおいてから確認をすることにする。
それに、まだまだ眷属たちも騒ぎたそうだったので、変にそれに水をかけるような真似になってしまってはいけないだろう。
というわけで、夜にはちょっとしたパーティらしきものを開くことにして、俺自身はその場から離れることにした。
傍にはアイがいたで本体に戻ることを伝えたので、後のことは大丈夫だろう。
今ならフリーズホークとの戦いで疲れてしまったということを言い訳にできる。
もっとも一番世界樹とのつながりが強いアイは、そこまで疲弊していないことを見抜いているのか、一瞬考える様子を見せたもののすぐに頷いてくれた。
もしかしたら俺がいることによって、いつまでも騒いではいられないと考えたのかもしれない。
現にフリーズホークを倒したからといって領域内に出てくる魔物がいなくなるとは思えないので、それも間違いではない。
そうして歓喜の騒ぎを邪魔しないように分体を解除してそっと抜け出した俺は、改めてメッセージを詳しく確認してみることにした。
ハウスに戻らずに本体の中で確認することにしたのは、
それにメッセージの内容からハウスで色々と精査を始めると、他のプレイヤーからの質問やらで長々と時間が取られそうな予感があった。
それならば、まずはこちらで確認できることはしておいた方がいいだろうと考えたのだ。
まずは一つ目のメッセージだが、後半については問題ない――というよりも、そうなることが分かっていたうえでフリーズホークとの戦闘に臨んだのだからある意味では予想通りの結果だ。
だが前半部分にある【爵位持ち】と二つ目のメッセージの爵位を得たというのは、初めて聞く内容だった。
領土を持ったのだから爵位があってもいいのだろうという安易な考えもできるのだが、それによる問題も出てくる。
一番大きいのは、爵位があるということで上下関係が発生するということだろう。
爵位を持ったことにより、その爵位よりも『上』の存在から何か命令されるようなことになると面倒なことになる。
何よりも眷属たちが、それを許さないと言い出しそうで怖いことになりそうだ。
続いて世界樹が進化できるようになったことだが、これはそこまで驚いていない。
爵位を得ることが進化の条件にあったことも、ある意味ではなるほどと納得できることだ。
どちらかといえば、爵位というよりも正式な領土を得たことのほうが大事だったのではないかとさえ考えている。
地に根をはる世界樹だからこそ、『領土』から力を得ることができるようになるというわけだ。
実際には進化してみないことには具体的なことはわからないのだが、恐らく間違っていないだろうという予感もある。
続いて四つ目も爵位関係による入手らしいが、これもステータスを見ないことにははっきりしたことはわからない。
というわけで、色々整理するためにも早速ステータス画面を開いてみる。
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名前:キラ(桂木昭)
種族:世界樹(苗木):LV30 → 世界樹(若木):LV1
職業:世界樹の精霊 :LV32
爵位:侯爵(初・道北)
所持スキル:魔力操作LV30→上級魔力操作LV20、分体生成LV45、意思疎通
LV30、魔石生成LV30、枝根動可LV28、基本魔法LV20、
植物生成LV1、各種基礎魔法(地水火風)LV**、……(他)……
眷属:賢樹人形、白銀梟、女王蜘蛛、銀狼、銀大狼(ルフ)、暴風火熊、魔蜂女王
眷属獲得数/眷属獲得限度数:7/12
因子:極寒の因子(初)
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まず進化したことによって世界樹(苗木)だったのが世界樹(若木)になっている。
この時の俺は本体の中に入っている状態だったので分からなかったのだが、実際の見た目もより大きな巨木に変化していたらしい。
俺たちがフリーズホークを倒した時にたまたま傍にいたダークエルフが、急に大きさが変わったところを目撃したらしく、事情を聞いて納得したとのことだ。
いずれにしても苗木から若木に変わったことでできることも変わっているはずなのだが、それについては色々と検証していかなければならないだろう。
続いて爵位の項目が追加されているが、これについてはよくわからないままだ。
侯爵位が与えられたということはわかるのだが、それによって他組織(国?)との上下関係が発生しているかまではどこにも書かれていない。
相変わらず不親切すぎるステータス画面だとは思うが、これも運営の方針なのだろうと諦めるしかない。
侯爵の上となれば一般的には公爵だったり国王だったりするのだろうが、そこから接触があったらあったでその時に考えるしかない。
今は見えない相手に怯えていても仕方ないと割り切ることにした。
さらに新しく増えた項目として因子があるが、これも今のところはよくわからない。
名前からして寒さに関係する何かであることは間違いないことはわかるのだが、この因子を使って何ができるのかがわからない。
あるいは世界樹に関係した何かがあるのかもしれないが、詳しいことはなにも分からない状態だ。
どうも運営は、最初からヒントなりを与えるのではなく、各々で試行錯誤をして見つけてほしいと考えている傾向がある。
それもこれも上司の娯楽のためなのだろうと思えば、納得できなくはない。
……やられる方はたまったものではないのだが、そこは文句をつけたところで「運営方針」もしくは「仕様です」と言われて終わりそうだ。
ステータスに関わる部分での確認は終わった。
最後は売買機能についてだが、これはどう考えてもプレイヤー同士のやり取りのことになりそうなので、ハウスに戻ってからの確認になる。
ついでに既に掲示板でも騒がれていそうだという予感が働いたので、きちんと時間を作ってから確認することにした。
今は眷属たちとフリーズホークの討伐を喜び合うべきだという考えもある。
ということでハウスに戻った俺は、敢えて売買機能については放置をしてさっくりと買い物を済ませてからホームに戻った。
ホームに戻った理由は、アイに言づけたとおりに軽い打ち上げを開くつもりだったからだ。
そのことを期待していたのか、既にホーム周辺には眷属たちがずらりと集まっていた。
その眷属たちに手伝ってもらいながら、ハウスで適当に用意した料理と飲み物をアイの作った建物の一つに運んでもらう。
基本的には立食パーティー形式なので、会が始まってしまえばあとは各自自由に飲み食いを始めた。
おれがハウスから持ってくる料理は、今のところ眷属たちにとって最高の嗜好品になっているようでそれぞれ楽しんでいるようだった。
ホームパーティで使えそうなアラカルトを適当に選んだのだが、どうやら気に入ってもらえたらしい。
ちなみに、眷属たちに共通して人気だったのが、ワンプレートのハンバーク定食もどきだったことは記憶にとどめておくことにした。
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