第3章
(1)現状の把握(ハウスにて)
本日(2020/12/2)投稿2話目(2/2)
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ハウスに戻ってきた俺は、まったりと掲示板を眺めていた。
話題の一つにこのゲームは本当に『ゲーム』なのかというものがあったが、それは俺も気になっているところだ。
そもそもそんな話題が出るのは、普通(?)のゲームと比べても明らかに不親切……というかとっつきにくい仕様をしているためだろう。
その代表例が、ステータス表示だ。
一般的なゲームであれば、筋力や精神力などがもう少し細かい表記をしているものが多い。
だが、このゲームではそんなものは一切表記されることがない。
であれば、キャラメイク時にステータスを決めさせたのは何だったんだ、となるのは当然だろう。
俺の時はランダムで作ったのでそこまで気にはならないが、きっちりとキャラを作り込んだプレイヤーが気にするのは当然のことだ。
隠れたデータとしてきちんと残っているのかもしれないが、それなら表に出してもいいのではとも思う。
ただし普通はステータスなんてものは見えないんだから、見えなくても当然だろうという意見もある。
俺としての意見は、正直なところ「どっちでもいい」だ。
見えたら見えたで目標を建てやすくなるという意味でやりやすくなるし、無いならないで特に不自由はないからだ。
そういう意味では現実に即した生き方ができていると言えるかもしれない。
中には運営に「意見」という形で注文を付けたプレイヤーもいるようだが、俺としてはそこまでするつもりはない。
検証する意味で色々な情報を掲示板に載せることは今後も続けていくが、今の形を無理に変えようとするつもりはない。
そう思えるのも、今のところの生活にあまり不満がないからかもしれないが。
それはともかくとして、折角ハウスに戻ってからすぐに風呂に入って落ち着けているので、今後のことについて考えることにした。
まずは自分自身についてだが、掲示板からの情報のお陰で各種基礎魔法が使えるようになっている。
正直なところ今のレベルだと領域に通常わいてくる魔物(レベルが低い)相手に何とか対応できるといった感じで、エリアボスには全く歯が立たないという感じだ。
これに関しては、今後もちまちまとスキルレベルを上げていくしかない。
できることなら俺自身(妖精)がエリアボスを倒せるくらいの強さにはなっておきたい。
期限を設けるつもりはないが、できる限り早くというのが目標だ。
今のところは必要性を感じないが、今後俺自身で戦闘をしなければならない場面が出てくるかもしれない。
小さい妖精の体で武器を持って戦うイメージが全くできないので、今は魔法を鍛えることが優先だ。
そして、その基礎魔法を覚えたお陰かはわからないが、『魔力操作』が『上級魔力操作』というスキルに変わっていた。
名前からも分かる通りに完全に上位スキルなのだろう。
タイミング的には各種基礎魔法を覚えて少し経ってから変化していたようなので、他に条件があるかも知れない。
これについてはもう具体的に検証する術がなくなったので、掲示板に投げておいた。
上位スキルの発見は俺が初めてというわけでは無いのでそこまで騒がれはしなかったが、魔力操作の上位スキルは初めてだったのでそれなりに騒めいたりはしていた。
検証に関しては、やはりここにも検証班らしきものはいるので色々と考察してくれるはずだ。
各上位スキルの覚え方が分かれば今後の攻略も楽になるはずなので、検証班には是非とも頑張ってもらいたい。
勿論俺自身も鍛えるべきスキルは鍛えるし、情報提供を惜しむつもりもない。
続いて眷属たちについてだが、普通の領域拡張に関してはもはや俺が細かい指示を出さなくても良くなってきている。
エリアボスについてはまだまだ油断できるわけではないが、よほどのことが無い限り眷属複数で当たれば勝てるくらいになっている。
俺自身と領域内での戦闘を確認する意味で誘い込んでの戦闘をすることはあるが、それ以外は基本的に眷属任せだ。
クインとシルクの子眷属たちも領域拡大に合わせて質・量ともに順調に増えているので、戦力に関しては今のところほとんど心配していない。
何か今までと違うことがあれば報告するようにはいってあるので、特に心配する必要はないだろう。
現在もし心配することがあるとすれば、それはやはりダークエルフの存在だ。
シルクの子眷属のお陰で細かい情報もそこそこ入ってきてはいるが、肝心なことを掴めるのはまだもう少しかかるといったところだ。
具体的には現在の生活規模などは色々分かっているのだが、そもそも彼らが何故こんな北の暮らしにくい場所にいるのかや交易している対象などがいるのかなどはまだまだ判明していない。
会話を行っての情報入手ではないので、そうした情報が手に入るのはまだ分からない。
あちらは現在冬なので、外と交易をおこなっていたとしても今はストップしている可能性もあるからだ。
これに関しては焦っても仕方ないので、それよりも確実な情報入手をするようにと言ってある。
眷属たちについてはステータスを見ることができないので細かいスキルなどはわからないのだが、順調に成長していることだけはわかる。
元からいた眷属たちは全員が一段階の進化をしたのは勿論のこと、これまでの様々な経験でそれぞれの考え方といった目に見えないところでも成長が見て取れるのだ。
以前は細かく指示していたところも眷属たちが自分自身で考えて行動するようになっているので、俺に聞いてくることが少なくなってきている。
そもそも今までの行動を変えるような大きな変化が起きていないからということもあるが、それが判断できるようになっているだけでも大きな成果と言えるだろう。
子眷属たちに関しては完全に俺の手を離れているので、あまり詳細については聞くことをしていない。
俺がクインやシルクに指示を出せば、彼女たちがそれに沿った行動をしてくれるのでその結果を待つだけだ。
子眷属たちの進化については具体的に制御できるものではないので、ほぼ自然任せになっている。
もしかしたら今後余裕が出てくればそこにも手を入れるかもしれないが、今はそこまでするつもりはない。
子眷属の規模や質については俺が細かく指示するよりも、それぞれに任せてしまったほうが良いと考えてのことだ。
それから最近ルフが連れてきた相方のミアだが、新参者として他の眷属たちにいじめられるようなことはなく、俺が見ている限りではきちんと仲間として認識されている。
眷属になっている以上は無いと思うが、俺に対して反抗的な態度をとれば別だろうが、今のところそんな様子もないのでわざわざそんな陰湿な真似をする必要もないといったところだろう。
ただ冬も真っただ中になってからは、ミアが戦闘に参加することは少なくなっていた。
これは別にさぼっているというわけではなく、春に向けてとある準備を始めているのだ。
その準備というのは、ある意味当然というべきか来るべき出産に向けてということになる。
ミアが仲間になったばかりの頃は喜び勇んで狩りに行ったりいたのだが、やるべきことはしっかりとやっていたということだろう。
ルフとミアの子供ができれば、戦力になることが期待できるためこちらとしても大歓迎である。
俺としては当初子供たちを縛るつもりはなかったのだが、親であるルフとミアが俺に仕えさせると張り切っているのでそれを止めるつもりはない。
無理やりに子供をしつけようとするなら止めるつもりもあるが、基本的に子育てにまで介入するつもりはない。
これは、クインやシルクの子眷属たちと同じようなことだ。
もっとも今後も領域を拡張することを考えれば、親から独立したところで結果的に住処を追われてしまうことになりかねないので、敢えて俺に仕えさせることを選んでいるのかもしれないが。
それはそれで一つの考え方なので、俺自身がどうこう言うつもりはない。
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ここから第3章開始になります。
それに伴って……というよりもストックが切れそうなので、更新頻度を落とします。
今のところは土日(祝日は除く)2本、平日1本(20時)を予定しています。
※あくまでも予定なので、ストック次第ではさらに投稿頻度が落ちる可能性が高いです。
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