(10)眷属と魔石
本日(2020/12/1)投稿2話目(2/2)
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一分ほど時間をかけて悩んで考え付いた名前は「ミア」だった。
最初はルフにちなんでルアにしようと考えていたのだが、恐らくずっとルフの近くにいることになるであろう相手がその名前では混乱することもあり得る。
そう考えてもうひとひねりした結果が件の名前だった。
それでも名付けを行う銀狼(♀)から却下されればすぐに考え直そうと思っていたのだが、意外にも(?)その名前はすぐさま了承された。
そして、俺が「ミア」名前を呼んで彼女がそれを了承すると、久しぶりに領域拡大(エリアボス討伐)以外のメッセージが流れてきた。
『【名付け】による初めての眷属獲得が行われました。以降、眷属獲得数および限度数がステータスに表示されます』
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名前:キラ(桂木昭)
種族:世界樹(苗木):LV18
職業:世界樹の精霊 :LV18
所持スキル:魔力操作LV30、分体生成LV32、意思疎通LV20、魔石生成LV10、枝根動可LV15、基本魔法LV10、
……(他)……
眷属:木人、大梟、蜘蛛人、銀狼(2)、火熊、魔蜂人
眷属獲得数/眷属獲得限度数:7/12
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すぐさまステータスを確認するとこんな表示がされた。
最後に記された部分が、メッセージで言われた追加された項目だろう。
これを見れば、眷属を獲得できる上限が記されているということがわかる。
もともと上限なしに獲得できるとは考えていなかったのだが、これでそれが間違いではないことがわかった。
さらにこの情報からクインとシルクの子眷属たちは、俺にとっての眷属ではないと判定されていることもわかる。
もしかしたら子眷属にも上限はあるのかもしれないが、今のところはそんな気配も感じないので好きに作ってもらっていいという判断だ。
子眷属のことはともかくとして、今は眷属のことについて考える。
ミアを除いた眷属たちはそれぞれ進化をしているはずだが、ステータス上の表記はそのまま変わっていない。
これは進化しても種族名(?)が変わるほどのものではなかったのか、単純にそのままの表記が続くのか、どちらなのかは今のところ分からない。
そもそも姿かたちが大きく変わるような進化ではなかったため前者である可能性が高いと思っているが、後者である可能性も否定できない。
俺自身は基本的に、このステータス表記は参考程度に見ることに留めているので、どちらでも構わないと思っている。
これはステータスが信用ならないというわけではなく、ステータスに頼り切った行動しているといつか足元が掬われるのではないかと考えているためだ。
続いて眷属の上限についてだが、これは今のところまだまだ余裕があると考えていいはずだが、今後はどうなるか分からない。
まだまだ領域の拡大は続けていくつもりだし、その拡大に合わせて眷属を増やしたほうがいいだろうという考えもある。
ただ今いる眷属たちの様子を見ていると、進化を続けて行けばそれだけ管理できる領域の広さも拡大するようなので、数だけを頼りにするつもりはない。
そのためにもエリアボス討伐に伴った領域の拡大や進化に必要だと思われる魔石の入手は欠かすことができない。
魔石に関しては様々な使い道があるために非常に悩ましいのだが、これはこの先どれだけ領域の拡大が進んだとしても悩みが尽きることは無いだろう。
魔石の管理に関しては、この世界で生きていく上では必須の能力だと既に覚悟を決めている。
その魔石に関してだが、新たに仲間になったミアからこんな情報がもたらされることになる。
「――ええ? 領域から自然に発生する場合があるの?」
「バフ!(はい!)」
はっきりとそう返してきたミアに詳しく話を聞けば、次のような内容だった。
そもそも魔石というのは魔物の中にあるというよりも、周囲の魔力の濃さによって自然発生するものだそうだ。
だからといって頻繁に発生しているわけではなく、領域の大きさと魔力の濃度に合わせてその発生頻度は変わるらしい。
その発生メカニズムは魔物とは違っていて、どういう基準なのかはミアにも分かっていないそうだ。
ただ領域ごとに魔石が発生するのは間違いないようで、ミアの場合はそれによって自分の強化をしていたそうだ。
だからこそ
ついでに似たような強さの眷属が他にもいることが分かり、すぐに降伏することに決めたそうである。
意外なところからミアが従った理由が判明したが、今は完全に従うつもりのようなので特に問題にはならない。
それよりも、エリアから発生する魔石とやらのほうが重要だ。
というわけで、早速そのことについて眷属たちに聞いてみたが返ってきた答えはあまり芳しくはなかった。
「主様が作られている魔石は違うのでしょうか?」
クインなどは逆にそう聞いてきたが、これには明確に首を振って否定した。
「違うな。あれはあくまでも世界樹の持つ魔力を使って作っているものだ。周囲から吸収している分もあるかも知れないが、基本は間違いない」
当初はあまりよくわかっていなかった魔石生成の生成手順だが、レベルが上がってきてからはその生成手順も何となくわかるようになってきた。
だからこそ、クインの問いにもはっきりと違うと答えられた。
となればやはり領域のどこかで魔石が生成されていてもおかしくはないのだが、それがどこなのかは全く見当がつかない。
もしかしたら領域の拡大が急すぎて、どこか見落としていることがあるのかもしれないと考えたほどだ。
ただ領域の拡大と共に眷属・子眷属たちの管理もしっかりと手を広げているので、そこまで大きな見落としがあるとは考えにくい。
となるとどういうことだと、結局同じ疑問に行き着いてしまった。
眷属たちから話を聞いてから一時間ほど悩みぬいてみたが、結局これについての答えを得ることはできなかった。
今はこれ以上考えても仕方ないと結論を出した俺は、後々解決するはずだと心のメモに留め置いて――いや、さすがに忘れるかもしれないので、ハウスに用意してあるメモ帳に書いておくことにした。
こちらの世界で日々過ごしていると意外とやることがあって忘れがちになることも、ハウスに帰ってメモを見ることで思い出すこともある。
これはこちらの転生してくる前からの習慣――というよりも癖のようなものだが、俺にとっては必要なことでもある。
とにかく魔石の問題については保留ということで、今はあるものだけで対処していくしかない。
俺自身も魔法をはじめとしたスキルを覚えてきているので、今後は直接討伐に役立てることがあるはずだ。
眷属たちのお陰でほとんど出番がないといっても過言ではないのだが、領域内の魔物討伐を俺自身ができるようになればその分眷属は外側への戦力として回せるようになる。
見つかったダークエルフの集落への対処のことを考えれば、フリーにできる戦力が多くなることに越したことはない。
今はまだまだ先の話になるだろうが、ダークエルフという種族が出てきた以上は他の人類種が出てくることは確定と考えていいだろう。
その時に
むやみやたらと迎合するつもりはないが、物語でよく聞く魔王のように無茶な進軍をして領域を拡大していくつもりもない。
そのあたりの見極めは俺自身がしなければならないことで、そのためにも自分自身も含めて戦力の拡大は急務なのである。
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