獣の世話なんて誰でもできると追放された宮廷ビーストテイマー。実は世界でただ一人の神獣使いだった~魔獣が暴れて戻ってこいと言われてももう遅い!ケモミミ美少女達に溺愛されて獣の楽園を作ってしまっているので
つくも/九十九弐式
宮廷ビーストテイマークビになる
「貴様はクビだ! アレク・ユグジッド!」
「ええ~~~! なんでですか! なんでいきなり俺がクビなんですか!」
俺の名はアレク・ユグジッド。王国ハルモニアでビーストテイマーをしている。主な仕事は王国内の魔獣の調教及び管理だ。
しかし俺は突然、宮廷をクビになってしまう。いきなり国王に呼び出されてクビを宣言されたのだ。
「なぜでも糞もあるか! 獣の管理など誰でもできる! 高い金を払ってまで貴様を雇う必要はない!」
「いいんですか! 俺をクビにしたら魔獣達が大暴れしますよ!」
「見苦しい言い訳だの。アレク。貴様が宮廷に固執するのはわからないでもない。高い給料を貰っているからのお。そんな言い訳をしてでもしがみつきたくなるのは納得がいくわい」
国王はにたにたとした笑みを浮かべる。
「くっ!」
俺は思った。ダメだ。この独善的な国王に何を言っても通用しないのだと。
「2、3日やる。荷物をまとめてさっさと出ていけ!」
俺は国王に非情な宣告を受けた。
「はぁ……」
国外追放処分を受けてから俺は彷徨っていた。一体、これからどうすればいいというのだ。テイマー学院を卒業してからの数年間、ずっと王国の魔獣と向き合ってきたのに。
こんな扱いはあんまりだ。俺は現実の非情さに絶望していた。
そんな時だった。俺の前に一人の少女が現れる。彼女は犬のような耳を頭に生やしていた。どうやら獣人のようだ。綺麗な白い毛をした少女だった。どこか気品を感じる。
俺はその獣人に見覚えがあった。
「君はあの時の……」
俺は思い出す。数カ月前に怪我をしていた獣人だ。俺は彼女を助けた事があった。
確か必ず恩を返すとか別れ際に言っていた気がする。だが、話半分だった。本当に恩が返ってくるはずがないと俺は思っていたのである。
「あの時はありがとうございました。アレク様。私の名はユナと申します」
獣人ユナは語る。
「……どうも。無事で何よりだ。随分、元気そうになって。別に大した事はしていないよ」
「そんな事はありません! 実は私はただの獣人ではありません! 神獣なんです!」
「え? 神獣?」
「はい。私は神獣なんです」
ユナが語る神獣とは魔獣の中の頂点に達する魔獣だ。その存在は限りなく神に近く、通常、人間では扱えないとされている。
「普通のビーストテイマーでは私の傷を癒す事はできません。アレク様、あなたにしかできなかった事です」
「そうだったのか……」
世界でも神獣を手なずけたビーストテイマーは見た事がない。まさか俺がその初の神獣使いとなるなんて思ってもみなかった。
「アレク様は何をなさっているのですか?」
神獣相手とはいえ、嘘はよくないだろう。見栄を張るのは良くない。俺は正直に事情を説明した。
「実は国王からクビを言い渡されてね。獣の世話なんて誰でもできるから俺なんていらないってね。ははっ。情けない話だよ」
「ええっ!? アレク様をクビに! それは国王に見る目がなかったからに決まっています! その国王の目は節穴でございます!」
「ははっ……お世辞でもそう言って貰えると嬉しいよ」
「お世辞ではありません! 私は本心からそう思っているだけです!」
ユナは真摯な目で俺を見つめてきた。
「アレク様、よろしければ私達、獣人の国に来ませんか?」
「え?」
「アレク様のお力が私達に必要になるはずです! 是非私達の国に来てください」
迷うまでもなかった。俺は今無職なんだ。路頭に迷ってこれからどうすればいいか悩んでいたところだ。だから、俺は彼女の手迷わず取った。
「では、案内します。獣人の国に」
ユナが神獣と呼ばれる理由がすぐにわかった。ユナは大きな狼の姿に変幻する。それは神狼(フェンリル)と呼ばれる獣だ。
威厳のある姿になる。犬娘かと思っていたが、どうやら狼娘の獣人だったようだ。
「さあ、乗ってください。アレク様」
「ああ……」
俺は乗り込む。神狼(フェンリル)となったユナと共に、獣人の国を目指した。
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