第4話
11時頃に横浜赤レンガ倉庫に到着した。俺達は歓声をあげた。
はじめに1号館からみていく。春香にアクセサリーや雑貨をみにいきたいと言われ、手を繋ぎながら店をみていく。色んな商品があって、春香が迷っていたがいい値段ばかりで諦めていた。
12時過ぎに昼食を食べに向かう。俺はオムライスを、春香はオムレツライスを頼み、口に運んでいた。
「今年ももう終わりだね。あっという間だったね、瀬尾君」
「そうだね。あと少しだね、春香」
「瀬尾君とやっと一緒に暮らせた。叶って嬉しかった、今もずっとこうして瀬尾君と居れて嬉しい」
「前から言ってたもんね。そう言ってくれて幸せだよ。ありがとう、春香」
笑顔の春香。
「瀬尾君、ありがとう」
昼食を食べ終えた俺達は、2号館に向かっていると、前から歩いてくる胸元まで伸びた黒髪の女性が声をかけてきた。
「久しぶり」
一瞬わからなかったが女性の顔立ちをみて、思い出した。
「えっーと、あー。麻生さんか...そうだね。久しぶりだね」
前の彼女はショートカットだったけど前髪が長く目もとが隠れていて、見えなかった。
高校卒業以来彼女には会っていなかった。
「マイさん...?瀬尾君、誰」
春香は覚えていなかった。あまり関わりがなかったから、春香は。
「野原麻生さん。前髪が長くて、目もとが隠れてた子。」
「あっ、瀬尾君にバレンタインデーの日、チョコをあげてた子」
みられてたのか、春香に。
「そう...だよ」
小声で話す俺達をみて、息を吐きだす麻生さん。
「相変わらず、牧先輩と仲いいんだな、瀬尾」
彼女は羨ましそうな表情を浮かべる。
俺は彼女の表情に引っかかるが聞くのをやめた。
「ああ。そういえば、今日の朝メールを送ってきたよな。なんでここに麻生さんがいるの」
「送ったよ、瀬尾に。断られたから来たんだよ。ここは思い出の場所だからな」
「ごめん、麻生さん......」
俺は、麻生さんに謝った。
「いいよ、瀬尾。牧先輩、お似合いです。瀬尾とも...」
俺とも、とはどういうことだろう。
じゃあ、と彼女が去っていく後ろ姿に声をかける。
「麻生さんも似合ってるよ!」
麻生さんは、青ニットにグレーグレンチェックコートを羽織っていた。たまたま春香とコートが同じだった。
「瀬尾君。いこっ」
「ああ、行こう。春香」
俺達は歩きだす。
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