序章

『ユメユメならぬ日』

こいつに・・・

%€8のエレメンタルが

融:@・・・た時

あの¢£Ⅱ・失われた日々

が・・・蘇$¢£▲/・・・

・・・

あと・・・は・・%£€:@Ⅱ待つ

だ・・・け・・・


“ボク”は・・・

もう何回この“ユメ”を見たことだろうか・・・

いつも、二人の男がまぶしい光の中で手元の機械をカタカタっと鳴らしながら、ところどころ聞こえてくる話し声

その声は・・・

ボクの記憶のどこかに、カゲロウのように儚く残っている

背の高い金髪の男の声はいつもトゲトゲしい・・・

背の低い老人の声はいつも不安な気持ちにさせられる・・・

でも・・・

いつも肝心な“会話”のところは、全部忘れてしまう・・・


@Ⅱ%€・・・アン・・・

・・・アン?

彼女の名前さ・・・


“アン“

心の中でそう呟く

そう・・・ボクの名前・・・



「アン・・・おいアン!」

「ふぇ?え?あっ、は、はい!!」


寝ぼけた声が響き渡る大きな講堂の中心でボクは目をさました。

周りからの乾いた笑い声が・・・。

なんでこんな日に居眠りしちゃうかな〜、ばかばか!ボクのバカ!

こんな冷たい空気は、髪の毛でもいじってやり過ごすのです。


ここ最近、連日続いた地獄のような“補佐官教練”で、すっかり輝きをなくしてしまったボクの“白く透き通るような髪”はボサボサになって顔にペターっと張りついている。いまとなっては女の子らしさのかけらもなくなり・・・。


いや、そのつまり・・・まぁ元からそんなものは、このボクになかったんだけどもね・・・。


沈黙に耐えきれず、ボクは壇上の鬼の“ギルモイ教官”にこれ見よがしに姿勢良く敬礼してみる。


教官の後ろには『アルドラマ』の国旗がかかげられていた。


ここは七人の魔王によって統治されている

“魔界アルドラマ”

今年は、一万年に一度、七人の魔王の中からトップを決める

“七魔王の総選挙”を控え、

選挙管理を行う『魔界選挙管理委員会』も大忙しだ。

委員会で働くのは、誰もが羨む魔界の超エリート集団!

通称“魔管”と呼ばれる国家公務員キャリアのこと。

本日は、そんな魔管を育成する“魔管養成学校”にて、魔管の卵とも言うべき

サポート役の“補佐官”たちを、全校生徒の中から決める“任命式”がとり行われていた。


「アン!!聞こえないのか、早く来なさい!」


大講堂のはるか前方の壇上から首席魔管のギルモイ教官が、


ボ・・・ク・・・?ボクの名前を呼んでる・・・?

ざわつく生徒たち・・・。

うん、そらざわつくわね。


まさか!

自分が呼ばれるなんて思ってなかったから!

はい!正直、ボク油断してました!寝てました!


魔管補佐官に任命される生徒は、学校の中でも一握りのひと達だけ。

それに、選考基準の大半は、魔物が持つ生命の源、“エレメンタル魔力元素”のレベルが特に高いものから選別されるのが常識。


だから入学以来、ずっと底辺のボクが選ばれるなんて、

普通、夢にも思わないでしょ?

そうですよね?

完全にモブキャラ以下ですよボク。


ちなみにボクの“エレメンタル”なんてレベル『0』ですよ。

ありえない、絶対に、こんなことは、もう一度いいます、絶対にありえません!!

生まれたばかりの子どもだってレベル『0』はまずないって聞きました。

だから生きてること自体、不思議なくらいだってみんな逆に驚いてましたし。


不意に、強烈なタックルをしてくる、猫耳ケットシー!


「やった・・・!やったニャ!!アン〜!」


そう言ってボクよりも喜んでる、親友のオジー。

(タックルは、オジー曰く抱擁らしい。)


タックルだけで、コンクリート製の柱を粉砕するパワー系小柄女子・・・。

いや、オレンジの目と髪が特徴の、もふもふ小柄のカワイイ系ケットシー女子なんだけど、学校一の優等生であり、エレメンタルの数値は魔管養成学校創立以来の最強レベルと噂です。


正直、落ちこぼれのボクが退学にならずに残れたのは、オジーと寮が同室だったおかげだと思ってる。


そしてほら、オジーはすでにもってますよ勝者の証!

胸元に輝くは全生徒の憧れ、“魔管補佐官バッジ”

うん、やっぱりほら!

こういうスーパー優等生が選ばれる訳なんですよ、普通は!


しかもオジーったら、主席卒業者にしか渡されないシルバーの“魔管補佐官バッジ”をつけています!オジーったら最高!


いいな・・・やっぱりうらやましいな。

誰もボクが魔管になれるなんて思ってるわけなんてないけど・・・。


だーかーら!

なれないものになってる願望?!夢!?

そう!まだ夢のままなんですね!


さっきからそんなボクを

ギルモイ教官が壇上から睨みつけてくるので取りあえず・・・

上にあがってみることにします。はい・・・。


「さっさとこい!アン!罰としてこの後全員に“魔管坂ボットンダッシュ”をさせてやるぞ!」

「ひぃ!」


魔管坂ボットンダッシュ”に反応した全校生徒が一斉に凍りつく!

吐き出す者、泣き出す者、講堂から逃げ出そうとするものまで!?


ボクも“魔管坂ボットンダッシュ”を思い出し体の震えが止まらない。


鬼教官ギルモイの“魔管坂ボットンダッシュ”とは・・・

候補生が受ける悪魔の『暗記トレーニング』のことだ。

『魔界公職選挙法』を、超高速で回転するランニングマシンに乗せられ、徐々に傾斜が急になり、角度が直角になるまでの間に全文暗唱しなければならない!


その過酷な暗唱は定められた時間内に走り抜けなければ決して終わらないのだ。

途中、力尽き脱落したものは、魔物がひり出した危険な臭いを放つ肥ダメハニーポッドの中に自動的に叩き込まれてしまうのだ!

その臭いはトラウマレベルである・・・。


入学からずっと鬼教官ギルモイに目をつけられていたボクは、ちょっとした失敗を隅から隅まで指摘され、しごかれ続けたわけです。

ああ・・・

こんな大切な日に居眠りしていた自分をほんと呪いたい。


目の前に、一枚の『紙』をもってる鬼教官。

声高らかにその『紙』を読み上げる。


「・・・右のもの、魔界選挙管理過程を修了したことを証し、ここに補佐官として任命する!なお、任命後はすみやかに赴任地へ向かい、上司の担当魔管と合流する事・・・」

「教官・・・えっと、これは・・・?」

「さあな。お前が選ばれた理由は、ワシにもさっぱりわからん!」


そういうとギルモイ教官は乱暴に任命証書を突き出し、

ブロンズの“魔管補佐官バッジ”をボクの胸にプスリと突き刺した。


「っつ!」

「アン補佐官の最初の赴任地は『エルデネ』とする」


ボクが魔管補佐官?

まさか、信じられない・・・


背後から投げかけられる生徒たちの疑念の声。


「嘘だろ・・・なんであいつが・・・?」


イライラしてるギルモイ教官が

手に持った魔管の身分証明書でもある”魔官ID”のカードを押し付けてくる。

「ほら、あとがつかえてるだろ、これを持って早く席にもどれ!」


あ・・・!そうか!

そうか!そうか!そうでしたわ!

ボクはまだ、アン魔管になる!的な夢の続きを見てるんでした!

うん!そうに決まってる!

よし、それなら・・・


ボクは全体重をのせた超平手打ちをギルモイ教官目掛けて叩き込んだ。


パァァーーーン!


超平手打ちが見事に決まって、ギルモイ教官の手から離れたボクの“魔管ID“がゆっくりと宙を舞う。

するとそれを見ていた全校生徒が大歓声をあげた。

そして、“魔管坂ボットンダッシュ”の恐怖とともにギルモイ教官の“意識”は消し飛んだ。


「ギニャー!?!おまえ一体ニャにやってるニャー!」

「オジー、これは夢だよ夢!」

「ばかー!今日からおまえも魔管補佐官ニャンだぞ!」

「・・・いや、だから、これは・・・夢だから・・・」


アンが壇上で振り返ると大混乱の任命式。

担ぎ出されるギルモイ教官。


・・・もしこれがほんとなら

任命初日の新米魔管補佐官が上司暴行!

秒速でクビ決定かぁー?!

ボク無職決定!



―・―・―・―・―『七魔王の円卓』―・―・―・―・―


堅牢な白堊の大理石で作られた壁や床、高い天井には“始  祖始まりの魔王

の伝承がステンドグラスによって彩られており、まるで楽器のような美しい声が響いている。そんな、アルドラマ国家政務を行う中央議会の円卓の間で“七魔王“は集まっていた。


この議会を取り纏めるは、“アクサンドラ”を統治する第三の魔王ファシルス。

また彼は、アルドラマの国家宰相でもあった。


「以上をもって、古からの言い伝え通り、今年七つの国の統治者を決める魔王選挙を開始する。みな、異論はないね」


他の魔王たちへ冷たい眼差しを向け席についた。


“ハロゲート”の第一の魔王ルクスリアは、ファシルスの話を聞いているのかいないのか、テーブルの上で“道化パペット“を操り遊ばせている。


「選挙かなんか知らねぇが、総長は俺にかわりねぇ。だろ?」


“ルネリア”の第五の魔王ルサルカが笑いながら両脇の二人に言う。


“カンタローザー“の第六の魔王ベルチがすかさず


「ルサルカさん、俺も今回ばかりは一発狙いにいかせてもらいますよ」

「生意気いいやがって、ははは!」

「うちの国民が路頭に迷わないのなら、オレは誰でも構わない・・・」


“エルデネ”第七の最年少魔王イラが興味なさそうに答えた。


「だったら、イラ君は僕を支持したらいいよ。アルドラマはすでに財力がモノを言う世界だ。経済大国となったシャンゼ・デルタを超えられる国が他にある?そもそも君たちのような田舎国家には荷が重いでしょ?」


“シャンゼ・デルタ”の第二の魔王プライムが口を挟んだ。


「なんだとてめぇ!」


ルサルカは、大理石のテーブルに拳をぶつけ見事に粉砕してしまった。


「まぁまぁ、最後は国民が選ぶんだからさ、仲良くやろうよ、ネッ」


そう言って可愛らしくウィンクをしたのは“アークレリ”の第四の魔王リロイ。

リロイが、指をパチンと鳴らすと、時間が巻き戻り、粉砕した大理石のテーブルが元に戻っていく。


そして時間が動き出す・・▲/%£


「$¢£>だっ€:、だった%€、支持したらいいよ。アルドラマはすでに財力がモノを言う世界だ。経済大国となったシャンゼ・デルタを超えられる国が他にある?そもそも・・・」

「まぁまぁ、最後は国民が選ぶんだからさ、仲良くやろうよ、ネッ」


そう言ってリロイはプライムの発言を遮り、可愛らしくウィンクをした。


「まぁ何にせよ、選ばれるべきものが選ばれるだろう」

「・・・」


ファシルスの言葉に、ルクスリアが操る“道化“が頷いた。


そして、

『七魔王の総選挙』が幕をあける。

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