第33話 温かい言葉
え?今なんて…私はその言葉に混乱した。理解が出来ずに棒立ちしている私をグレンさんは見ていた。
「ツキノ様、顔色が良くないです。もうそろそろお部屋に戻りましょう」
「はい、そうすることにします…」
部屋に戻ろうと立ったままの状態で足を出すとめまいがして体がグラっと傾いた。倒れていくのが自分でも分かったがそのまま意識が遠のいた。
◇◆◇
私が目を覚ましたのは、自分の部屋のベットだった。そっか、裏庭で私倒れちゃったんだ。迷惑かけちゃったな。
「ツキノ様、お目覚めになりましたか。大丈夫ですか?」
「一応大丈夫です。倒れちゃってごめんなさい」
「謝らないでください、ここ最近頑張っていらっしゃった疲れもあったんでしょうから休んでください。」
「分かりました。静かに過ごします」
「あと、聞きたいことがあるんですが…聖女様に何か言われましたか?帰る前にツキノ様の横を聖女様が通った瞬間顔色が悪くなったので何か言われたのかと…」
やっぱりグレンさんは私の事をよく見ている。そんなところまで見られてたなんて流石としか言えない。言うべきなのか黙っているべきか微妙なんだよな…判断が出来ないんだよな。相手は聖女様何されるか分からない。
「ツキノ様、話してください。私たちは大丈夫ですから」
「実は…昨日私を襲ってきた人はたぶん星宮さんが頼んだらしいんです。」
そう言うとみんなは、啞然とした。
「聖女様が?!そんなことが…」
「これは、色々不味いですね」
「聖女様がツキノ様を殺そうとした?!」
「侍女として許すまじ」
これはレティ様に言うべきなのか微妙な所なんだよな。色んな人を敵に回すからな…
「取り合えず、王妃様に報告いたしましょう。昨日の件ももう伝えてありますから」
「大丈夫ですか?王族のそんな平民の私の事を言って」
「王妃様は、ツキノ様の事がとてもとても気に入ってますからね。何かあったらすぐ報告するように言われているんですよ」
え?いつの間にそんな話を?!でも、今回ばかりは助けてもらおうかな流石に怖い。
「私は、伝えてまいりますのでお休みでもしてください」
「ありがとうございます。」
お礼を伝えて私はそのまま眠った。
「葵、よく頑張ってるわね。頑張った分だけ良い事があるわよ。そろそろ時間だわ。大丈夫きっとまた会えるわ」
「あなたは、誰?待って!」
伸ばした手は届かなかったが、目が覚めた。夢だったみたいだ。
「よく寝れたかしら、アオイ」
この声に聞き覚えがある…まさか、横を見るとレティ様がいた。
「レ、レティ様!なんでこのような場所に」
「貴方が心配で見に来たのよ。話は聞いたわ。色々あったのね」
「本当は頼るのは申し訳ないと思ったんですけど…やっぱり怖くて」
「いいのよ頼ってくれて、王族だからとか気にしないで私はアオイの友人として力になりたいのよ」
「ありがとうございます。あの、ちなみに何故ルイ様がいるんですか?」
うん、レティ様の横にルイ様がいるんだ。一瞬、見間違いかと思ったよね。
「たまたま、ルイと一緒に居てる。ルイも行きたいって言ったから連れてきちゃったの。ごめんなさいね。でも寝顔可愛かったわ」
「寝顔見られてたんだ…恥ずかしい」
「アオイの元気な姿見られて嬉しかったわ。この話はまた後日しましょうか」
レティ様の気遣いでこの話はまた呼ばれることが決まった。
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