第32話 夜の真実

寝付きが浅かったのかいつもより早く起きてしまった。まだ、震えは止まっていなかった。気分を晴らそうと静かにベットから降りて窓を開けた。お城から離れてることもあり緑がたくさん見える。空気が綺麗で少しでも自分の気持ちを晴らしてくれた。エルメルトに居ていいのかな?邪魔だから狙われてるんだよねきっと。

晴れたはずの気持ちもまたどんよりとした。


「エルメルトを離れた方がいいのかな…」

「エルメルトを離れるのですか?ツキノ様」


気配が全く無くて気付かなかった…後ろにグレンさんがいたことを、今の独り言聞かれてしまった。


「聞こえてました?私がここに居る限り皆さんお手を煩わせてるだけで邪魔なんじゃないかなと思って…」

「もしも、本当にエルメルトを出ていくのなら私もついていきます」

「ダメです!グレンさんはエルメルトに必要なんですから」

「私は、ツキノ様専属護衛です。何処までもついていきます。」


あぁ、この人はずっと一緒に居てくれると言ってくれてるんだ。飛ばされた日、全ての人の視線は星宮さんだった。この国でもダメなんだと思ったのに最初から今までずっと近くに居てくれたのはグレンさんだった。私のわがままに付き合わせていいのだろうか?


「ありがとうございます。」

「今日の予定はどうしますか?」

「久しぶりに裏庭でお茶会がしたいです!」

「分かりました。侍女に頼んで手配しときます」


久しぶりにゆっくりしたかった。いつも勉強ばかりで時間が取れなかったから…あの時間が好きだった楽しく好きな話を紅茶を飲みながらあの綺麗な景色でするのが。伝えてくれたのかすぐレーナさんが来た。その顔はとても嬉しそうだった。


「久しぶりのお茶会ですね!とびきり綺麗にしますからね!」


そう張り切って、私のメイクやら服やらをしてくれた。これが侍女の本気と言うのを見せられたぐらい早い支度だった。クリスタさんの方ではお茶の準備してくれたみたいだ。この長い廊下も慣れた。あっという間に着いた裏庭。クリスタさんが待っててくれる姿に安心する。


「準備ありがとうございます!早速お茶会始めましょ」


やってない分、話が弾んだ。とても楽しい時間が流れる。そんな雰囲気を壊すように星宮さんが来た。


「月野さん、何やってるんですか?」

「お茶会ですよ。」

「私も参加してもいいですか?」

「私は、いいですけど聖女のお仕事は大丈夫なんですか」

「大丈夫ですよ!ちゃんとやってますから」


本当は嫌だった。私はこのメンバーでしたかったからでもエルメルトでは私の身分は庶民と変わらないだろう。相手は聖女だ。なにが起きるか分からない。さっきまでの楽しい話は自然と終わり星宮さんはグレンさんに話しかけてるみたいだった。そのまま時間は過ぎていった。


「私そろそろ戻らないと、楽しかったです。また来ていいですか?」

「時間が会えばいいですよ」

「ありがとうございます!」


そんな少しの会話をして帰ろうとして私を横切った瞬間。あることを私に囁いていった。


「あぁ~せっかく頼んで殺してもらおうとしたのに失敗しちゃった」

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